蝶よ花よ、あこがれに恋して
桜庭さんは、最高の恋人
「おまえ彼氏出来たんだよな」
イブに詰め寄られたのは、幸せいっぱいな記念日を過ごした翌々日。私の仕事終わり、イブから《仕事が終わる頃連絡しろ》と命令されたので連絡を入れると、近くで待っていたらしいイブと落ち合った。
「うん」
叱られるのを予感めいて構えると、イブが話したのは至極真っ当なことだった。
「彼氏が出来たのに、俺を家に呼ぶのはだめだろ」
ああ、そうか……。
幼なじみだけどイブはしっかりと異性で、確かに彼氏がいるのに、異性と二人きりは良くない。
「気をつける」
「おう、気をつけろ。俺もすずとは二人で会わねえようにするわ」
イブは要件だけ告げると、じゃあ、と別れた。
そうだよね、桜庭さんにはきちんとイブの話をした方がいいかも……。
《今日、会えますか?》
ポケットからスマホを取りだして、桜庭さん宛にメッセージを送信する。
《今外出してる》
届いた返信は私の要望とは違った。
「(……そうなんだ)」
じゃあ、明日にしようかなあ……
「心鈴ちゃん」
迷っていたその時、聞きなれたトーンの声が私の鼓膜にゆるやかに溶ける。