蝶よ花よ、あこがれに恋して
「イブの話ばかりしてごめんなさい……興味、ないですよね」
「ん?興味はあるよ。教えてくれてありがと。今度、イブくんと会うことがあれば俺も一緒に会いたいな」
桜庭さんが微笑む。たったそれだけで、私の不安は消える。
「是非!イブ、ず〜っと片想いしている不憫な人間なので、桜庭さんに相談されるかもです」
「……相談ねえ」
何を隠そう、先程説明した私とイブの共通の友達である、ゆるがイブの想い人だ。ゆるもイブのことを女の子だと間違っていたから、高校でイブと再会した時、「イブちゃんが男の子になった……!」と二人で衝撃を受けたのだ。
イブは、ゆるのことがずっと好きだったとこっそり相談された。恋愛経験の乏しい私に相談するほどイブは切羽詰まっている。
恋多きゆるはイブのことは性別を間違えていたこともあって、なかなか恋愛感情を抱けないらしい。
思春期、私の身近な恋愛はゆるとイブで、私が辿った恋愛とはまるで真逆の恋愛を二人は紡いでいる。
憧れる恋愛の形。それを二人に言えば、ゆるも、イブもそれは違うと言った。「そのままの心鈴を受け入れてくれる人と、恋愛ができたらいいね」と。
好きなふたりが恋人同士になれば素敵なことなのに、今でも心から願っているのに、なかなかどうして、恋愛はむずかしい。