蝶よ花よ、あこがれに恋して
「自分を求めてくれる場所があるなら、今後は海外生活を軸に考えてる。心鈴ちゃんの人生に関わることだから、安易に考えて欲しくない。けど、もしも俺に力を貸してくれるなら、全力でサポートする。俺に、心鈴ちゃんの人生を任せて欲しい」
大事な言葉を、丁寧に紡いでくれる人。
冷たくなった指先に熱が通う。桜庭さんの温もりに慣れてきたのか、いや、指先だけではなく頬が発火しそうな程熱いから、きっとこれは私の熱だ。
「あの、それって……ぷ、プロポーズ……ですか?」
私が投げかけると、桜庭さんは不意をつかれたように目を丸くした。
「ち、違ったらごめんなさい……!」
勘違いだと思った。単純に。しかし見開かれた桜庭さんの目がなにかを理解したように緊張を解き、優しい形へと変化する。
「ああ、そうか。そうだよ。これ、プロポーズだ。俺は心鈴ちゃんにプロポーズをしようとしたから、だからこんなに緊張してたんだ。ごめん、今は指輪も婚姻届もないんだけど、確かにプロポーズだ」
出来れば人生で何度も経験したくないこと。ましてやそれが、愛おしい人から貰えるという奇跡。だからこそ、すぐに頷くのは躊躇われた。
「でも、私たち、まだ四ヶ月しか付き合ってないですよ?今後私に幻滅したり、いやなことが出てくるかもしれないのに……桜庭さんは……私で良いんですか?」
「俺の運命に時間は必要ない。だって俺は心鈴ちゃんがいい」
「…………!」
ああ、どうしよう。
「俺のことを一番に優先させてくれる心鈴ちゃんの人生を、俺に守らせて欲しい」
彼の言葉は私の涙腺をゆっくりと刺激し、気づけば自然と涙が溢れていた。