蝶よ花よ、あこがれに恋して
「ゆっくり、は難しいかもしれないけれど、慎重に考えて。投げやりに返事はして欲しくない」
あの日、桜庭さんは私を120パーセント安心させてくれた。ベッドの中でも甘い愛の言葉をずっと囁いてくれて…………この話は長くなるし、昼間に思い出すと自然とにやけちゃうし、いつ何時でもキュンと疼いてしまうのでやめます。
何はともあれ、私の人生で一、二位を争うことだ。
この興奮のまま両親に『彼氏と一緒にドイツに行きます♡』と言えば全力で阻止される未来が見えていたので、私はとりあえず優先事項を決めた。
まず仕事の件だ。桜庭さんが紹介してくれた、" V"という企業から説明をうけるよりも前に、今お世話になっているオーナーに断りを入れなければならない。
「あの……オーナー、少しお話をいいですか?」
「うん?どうしたの」
休憩時間にオーナーを捕まえ、休憩室で全てを話すと、オーナーは終始優しく頷きながら聞いてくれた。
「一度きりの人生なんだから、自分の思うように。自分の人生を豊かにしてくれる環境と、他人が経験しうることをさせてくれる人が近くに居てくれることは、きっと君の人生において大きな財産になる。応援するよ」
それは私よりも二回りも違い、人生経験の豊かなオーナーだからこその言葉だった。
「それで、たまにでいいから桜庭選手御用達のカフェとしてウチを宣伝してくれたら……」
感動していると、突然営業トークが始まり「はあ!?結局それ目的!?」「オーナー、せっかくいい事言ったと思ったのに」と、どこで聞いていたのか白瀬さんや相模さんが現れて驚いた。