蝶よ花よ、あこがれに恋して


そして先程のセリフに戻る。接続詞が結び付ける内容を分からないまま、動詞の衝撃の方が強くて、「怒られたんですか!?」と、怒った相手に怒りが湧く方が早かった。

「わりと本気度高めに怒られた」

「誰にですか?」

「え、事務所の所長」

「どうしてですか!?」

「だから、こないだ俺、女の子に振られたじゃん?あの子うちのスポンサーの娘だったらしくて、そりゃあもうすごい剣幕で怒られた。つか、そういうことだったら早く教えて欲しかったわ」

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耳馴染みのないワードを、桜庭さんは当たり前に差し出して、私の部屋のビーズクッションに顎を乗せる。そのビーズクッションはたったいま家宝へと変化した。

あ……。

そして、不貞腐れる仕草も可愛い桜庭さんを見ながら、私は閃いた。

も、もしかして、分かったかも。桜庭さんの職業。

アイドルだ。絶対そうだ。

であれば、あの貢物、もといプレゼントの量も納得だし、月に一度スーツケースを引いて出勤しているのは出張ではなくツアーと言えばその通り。名探偵心鈴に解けない謎はない!謎は全て解けた!

「大変じゃないですか!?違約金とか……」

「その辺は大丈夫だけど、しばらく彼女作るなって言われた」

「あ、それはファンのためにも、作らない方が良いかもですね」

「そうかな?結構彼女持ち多いけどな」

「多いんだ…………!!!」

軽い衝撃が電流となって迸る。

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