蝶よ花よ、あこがれに恋して

「さっきの二人組、大丈夫だった?」

彼らの会計が終わり、厨房に入ると白瀬先輩が心配そうに駆け寄ってくれた。

「大丈夫です。でも、帰り際に今度は週替わり目当てで来店するって話してたので、来週も来そうな感じします」

憂鬱が続くことを示唆していた。辛い。来週までのモチベ保持が大変だ。

「男性スタッフ多めの日に来て欲しいね」

白瀬さんが願望を口にする。

「相模さんがいる日がいいですね」

私も同調する。

「相模がいない日に限ってくるんだよね」

「白瀬さん、その時は私と表変わってくださいね」

「それはごめん」

「ぴぇ……!」

「嘘よ、うそ」

泣きべそをかくと、よしよしと頭を撫でられるので白瀬さんの胸に飛び込む。すぐに元気になる。もちろん性的な意味ではない。

「それより、最近推し活の方はどうなのよ」

さらに、白瀬先輩は私のテンションを上げようとしてくれる。

「とっても充実してます!」

「へえ〜。一般人だっけ。お仕事は何してる人なの?」

白瀬先輩の疑問が桜庭さんの秘密に関わることになるので、こっそりと「多分、アイドルです」と耳打ちすれば、白瀬先輩は「…………へえ」と、猜疑心で溢れる目で私を見下ろすので、信じていないと受け取る。
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