蝶よ花よ、あこがれに恋して

「つか俺が調べてやろうか」

イブの提案に「やだよ」と言えば、イブはなにかを理解したのか、軽くうなずいた。

「ああ、熱愛報道とか出てくんのが怖いんだ」

そうとも言う。

「桜庭さんも、私に知られたくない一面はぜったいあるはずだから」

というよりも、私がうといから、桜庭さんも私に気を許している節があるとおもうんだ。
アイドルって、ファンサ云々つねに周囲に気を使う職業だよね……。

承認欲求が人よりも強めのファンならば、周りに言いふらしたり、家のもの持ち帰ったり、プライベートな写真を撮ったり、または隠し撮りを試みたり……エトセトラ、エトセトラ。

こんなことは絶対にしないけれど、私も桜庭さんと一緒に写真、撮りたい〜〜〜〜!

もしくは、ご褒美を写真にしようかな……!?

そうしよう。ぜったい、それがいい!

テーブルにべったりと頬をくっつけて妄想していると、ふと、思考回路が停止信号を照らした。

「(あれれ?それにしてはマンションの目の前で堂々と別れ話してましたね?)」

少しだけ違和感。けれども、アルコールによって違和感はすぐに分解される。もう一度カシオレの入ったグラスをぐいっと傾ける。ほどよい甘さが喉を通り、一時的な幸福感を得る。

「とにかく、今日、がんばってビデオ通話をお願いしてみる!」

「おー、がんばれ」

イブにとても雑な応援をされたので、がんばることにする。
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