蝶よ花よ、あこがれに恋して


ツアーだと思っていたのは地方遠征で、ファンだと思っていたのはサポーターで、センターっていうのはポジションのことで、あの男の子たちもサッカーファンだから桜庭さんのことを認知していたんだ……!!

お風呂の中で意味もなく、「アアア……!」と叫んでしまうのも、一度や二度ではない。

chatGPTに聞いても良いアイデアを教えてくれず、そればかりか人工知能は、『勘違いしていたと、正直に打ち明けましょう』と無機質なアドバイスを送り付けた。それが出来たら悩んでません。

どんな顔をして会えばいいの……!?


「心鈴ちゃん」

予期せぬ再会は突然やってきた。

私の帰宅に合わせてくれたのだろうか、マンションのエントランス付近の植え込みに腰掛ける桜庭王子がいらっしゃったのだ。

桜庭さんが笑うと自然発光されるのか、夜だけど明るいのはきっと満月のせいだけじゃない。


「さ、さくらば、さん」

遠征の期間は教えられていたけれど、帰宅の具体的な情報はもらっておらず、さらに、メッセージすら受け取っていなかった。
サプライズ、というものだろうか、少し前であれば『桜庭さん(ハート)(ハート)』となっていた私だけど、簡単にときめく事が出来ない、理由がある。
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