蝶よ花よ、あこがれに恋して
私はいつもこうだ。
勝手に解釈して、勝手に勘違いして、一人で暴走しちゃう。
話せない。平気で話せるわけがない。
この調子で桜庭さんに会えるはずもなく、けれども、朝が来たら必然的に桜庭さんに会ってしまう。だから私は、いつもの時間をずらして通勤することにした。いつもより30分早く家を出るだけで、桜庭さんに会わずに済んだ。こんなにも容易く。
少し罪悪感に駆られたけれど、べつに私が勝手に偶然を装って会っているだけで、待ち合わせている訳では無いので桜庭さんは気にしないだろう。
それを一日、二日と続ければ、次第に罪悪感も薄くなる。
カーテンを開ける回数も減った。カレーを作る回数もおなじく減った。わくわくしながら買ったお洋服も色あせた。
「うう、桜庭さん不足です〜……」
桜庭さんと会わないように仕向けているのは私なのに、桜庭さん不足に陥っているのも私だ。というより、前回も同じ悩みを抱えていたし、これは慢性的な私の病名なのかもしれない。
「昨日はサッカーボールのクッキー、その前はサッカーボール柄の白玉、そして今日はサッカーボール風のタルト。見事にサッカー一色ね」
「めっちゃ分かりやすい。おもしろー」
間接的に桜庭さん補充をするのだけど、そんな私を見て心配そうにする白瀬さんと反対に相模さんは笑う。