蝶よ花よ、あこがれに恋して


可愛い。桜庭さんが、可愛い……!!!

心臓が、ぎゅん!と苦しくなった。

桜庭さんは一般人じゃないことくらい私は分かってる。だから、駄目じゃないの?無警戒な行動は慎むようにって、怒られたんじゃなかったの?

なんでこんな風に、私に気をゆるしてくれるの?
なんで気の抜けたように、私の、何を安心しているのだろう。私に嫌われていないから?それだけで?

……なんで……。

私なんて、その辺に存在する野良猫と同義だと思っていた。気まぐれに相手にされているだけだって。

……でも、そうじゃない……?

我に返る。うっかり自惚れそうになる自分のなんと浅ましいことか。

自分の太ももを服越しにぎゅっと抓り、それから「桜庭さん、逃げないから、一旦離れましょう!」と、桜庭さんの胸を押しやる。

「え〜……ほんと?」
「本当です、やくそく、です!」
「うーん……」
「とりあえず、家入りましょう!私の家で良いですか!?」

なかなか離してくれない桜庭さんは、固まったようにしばらくじいっと私をみつめ、それから、レンジで温められた冷凍うどんみたいにふにゃっと笑う。

「………………うん、心鈴ちゃんの家の方がいい」
「(その()は、)」

一体、何を考えていたのか私が知る由もなかった。……まあ、少し先の未来で知ることになるのだけど。
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