蝶よ花よ、あこがれに恋して
なんとなく手持ち無沙汰で、歯磨きをしたし、レモン味のキャンディを舐めた。アイスを食べる予定だとしても、焼肉後はつらい。
そういえば、髪型、褒められたかったなあ……。
髪の毛をちょんと触り、解こうかな?なんて考えあぐねていれば、突然チャイムが私を呼んだ。きっと、ううん、絶対に桜庭さんだ。
考えを終了させ、すぐに玄関に向かうと扉を開けた。開けた先にいるのはさっきぶりの桜庭さんだ。
きっと数秒でも数分でも、数週間でも、私が桜庭さんに会うための時間は誰よりも特別で、彼と会う度に私の心はきゅんとときめくしくみになっている。
「あれ、落としたんだ」
桜庭さんは私の変化にすぐに気づいてくれた。
「はい。せっかくですが……」
施錠させていれば、ふと、頬に温もりを感じて紡いでいた途中が途切れた。桜庭さんがその指でふよふよと私が落とした場所を触るからだ。
「(……え)」
当然訪れる疑問。頬を撫でていた手は首元へ降り、むき出しのうなじに触れると、その窪みをこしょこしょとからかうような手つきでくすぐる。