蝶よ花よ、あこがれに恋して
心鈴ちゃんは、いつも、
試合後、心鈴ちゃんと飯に行って、あー、このまま帰したくねえなあ、なんて邪な考えを抱いていれば、彼女はめちゃくちゃ可愛く引き止めてくれたので、お望み通り──白状すれば、彼女の意志を無視して彼女を家に連れ込みたくなる欲望に何とか打ち勝った。
「じゃあ俺、一旦荷物置いて心鈴ちゃんの家に来るわ」
それでも自制しなければ、例えば嫌がる彼女の制止さえ尊重できる自信が無い。だから心鈴ちゃんの家、と言ったのに、俺の家に行くなんて、彼女は無垢な笑顔を向けるから頭を抱えたくなった。
君の嫌がる顔や泣き顔でさえ、俺の引導になることを、彼女は知らない。
《ご近所さん、かわいいね》
「(なにこの巫山戯たメッセ)」
一旦別れてスマホを確認すれば、見なきゃ良かったと心底うんざりした。数時間前に送られていた冬稀からのメッセージは《髪型とか》と、プラスされていて、無性にムカついた。
《知ってる》
一応メッセージを送る。多忙な男からのレスポンスは期待しない。変則的な日常を送る冬稀からすぐに返事が届いた。
《まじで知ってんの?》
画面の向こうで友人が不敵な笑みを浮かべている、予感がした。その瞬間、形のない感情が明確な嫌悪感に変化する。まるで俺の知らない、あの子の何かを、この男が知っている気がして。
「じゃあ俺、一旦荷物置いて心鈴ちゃんの家に来るわ」
それでも自制しなければ、例えば嫌がる彼女の制止さえ尊重できる自信が無い。だから心鈴ちゃんの家、と言ったのに、俺の家に行くなんて、彼女は無垢な笑顔を向けるから頭を抱えたくなった。
君の嫌がる顔や泣き顔でさえ、俺の引導になることを、彼女は知らない。
《ご近所さん、かわいいね》
「(なにこの巫山戯たメッセ)」
一旦別れてスマホを確認すれば、見なきゃ良かったと心底うんざりした。数時間前に送られていた冬稀からのメッセージは《髪型とか》と、プラスされていて、無性にムカついた。
《知ってる》
一応メッセージを送る。多忙な男からのレスポンスは期待しない。変則的な日常を送る冬稀からすぐに返事が届いた。
《まじで知ってんの?》
画面の向こうで友人が不敵な笑みを浮かべている、予感がした。その瞬間、形のない感情が明確な嫌悪感に変化する。まるで俺の知らない、あの子の何かを、この男が知っている気がして。