蝶よ花よ、あこがれに恋して

意地を張っても仕方ないので、煽られることにする。

《何の話でしょうか?》

俺は、ある時から時間が止まっている冬稀よりも、精神年齢は高いはずだからだ。

《どっかの無愛想な男に気に入ってもらえるかめちゃくちゃ気にしてたよ。いい子じゃん、おまえには勿体ないくらい》

冬稀の言葉に、数時間前の記憶が蘇る。

『桜庭さん、お揃いですね!』

似合いますか?と、顔を真っ赤にして見上げたあの子だ。

「(え、似合うって言ったよな?)」

うん、言ったはず。いや、言った?

似合うよりも可愛いが勝ってそれどころじゃなかった。心鈴ちゃんに観て欲しいけれど、心鈴ちゃんが良からぬ輩にナンパされないか気が気じゃなかった。テンションの高めのサポーターっていうのは何を仕出かすか分からない。ということで、冬稀に番犬を任せたわけだ。俺の采配は正解だった。……はず。

「(俺に気にいられるか心配って)」

それは逆で、彼女の視界に入りたかったのは俺の方だ。
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