蝶よ花よ、あこがれに恋して
け、けけ、結婚──……!?!?!?
暴れる心臓を落ち着かせる為に顔を上げた。そして気付く。果たして桜庭さんの言葉を読むべきか、それとも、読まない方がいいのか。
『……』
意見を求めて右隣を見上げる。ゲラに落とされていると思い込んだその視線は私に向けられていて、『ん?どうしたの?』と丸っこい声を聞けば再び心臓はきゅんと鳴いて、それから慌てて目を逸らした。
『なんで逃げたの』
『だ、だって、あの……桜庭さん、見すぎです』
『心鈴ちゃんが可愛くて。ほら、読まないの?』
『あ、あの、これ以上読むと、視力に負担をかけそうで』
『じゃあ、俺が声に出して読もうか』
意地悪を囁かれ、バッと振り向く。
『そんな……文字ならまだしも、桜庭さんの声で振られたら、私、ショックで寝込みそうです』
『え?今どの辺読んでるの』
桜庭さんが私の手元を覗き込む。左肩に桜庭さんの重みを感じた。細目で件の質問を探し当て、しどろもどろに、『ここ、です』と、指でなぞる。
『ああ、今はこの言葉でしか形容できないからこう答えたけれど、俺から振ることはないし安心して』
私よりも一回り大きな手が私の手を包み込む。絶対的な安心感。おそるおそる目を開けて、桜庭さんの答えを拝見する。
桜庭:えー……と、それは一人で考えていいことじゃないし、タイミングとか色々あるだろうから、今はお答え出来ません。けど、俺にとって初めて、大事にしたいな、と思える子に出会えました。