優しい雨が降る夜は
雨に打たれて
重い足取りで帰路につく。
頭の中は、どうしてこんなことに? いつまで続くの?という言葉がぐるぐると回り続けていた。

(明日からなにしよう……)

楽しい予定も思いつかないまま、自宅のマンションに着いた。

だがエントランスを見て、美月はハッとする。

見覚えのない女性三人が、なにやら話しながらエントランスの脇に立っていた。

(誰? まさか、私を探して?)

自宅マンションまで把握されているはずはない。
誰か別の住人の知り合いだろう。

そう自分に言い聞かせるが、でも、もし、という気持ちがよぎった。

それに今日は、美空は横須賀の実家に泊まることになっている。

美月は、心細さと不安でいっぱいになり、マンションに背を向けて来た道を戻り始めた。

行く宛もなく、気づけばいつものカフェに来ていた。

温かいカプチーノを飲んで、ようやく人心地つく。

本を読む気にもならず、ひたすらうつむいたまま必死に心を落ち着けていた。
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