優しい雨が降る夜は
部屋に戻ってお茶を飲みながら休憩すると、いつの間にか雨は上がっていた。

「昼食は1階の和食のお店だったな。そろそろ行くか」
「はい」

部屋食ばかりというのも味気なく、昼食は庭園が見えるお店で食べることにしていた。

「見事な日本庭園ですね」

席に着くなり、美月は窓の外の美しい庭園に目をやる。

「紫陽花がとても綺麗」
「そうだな。あとで散歩しないか」
「ええ、ぜひ」

ゆっくりと食事を味わってから、二人は下駄に履き替えて外に出た。

カランコロンと軽やかな足音を立てながら庭園を見て回り、美月は笑みを浮かべて紫陽花に顔を寄せる。

その横顔に、優吾は目を奪われた。

美しいものを見つめる眼差しこそ、美しい。
綺麗な花を愛でる心こそ、純粋で清らか。

(まさに奥ゆかしい日本女性そのもの)

そんなふうに思いながら、優吾はいつまでも美月から目を離せずにいた。
< 55 / 93 >

この作品をシェア

pagetop