優しい雨が降る夜は
「へ? 誕生日を聞いて、それだけ?」

翌日。
美月とばったり会ったと光太郎に告げると、最初は嬉しそうに身を乗り出してきたが、話を聞き終えると真顔になった。

「お前な。つきちゃんの誕生日くらい、俺でも知ってたわ。なんでそこから、誕生日に会おうってならなかった?」
「なんか、告白みたいになりそうで」
「すればいいだろう、告白。好きなんだから」
「えっ、好き? 俺が彼女を?」
「なにを驚くことがある」

いや、別に、と優吾は否定した。

「なにを今更。バレバレだぞ」
「違うんだ。好きというよりは、気になる。あの子はなにをやっても、なにも話しても新鮮で。だってリアクションが、どれもこれも斜め上をいくんだぜ? あんな女の子は、初めてだ」

しみじみと呟く優吾に、光太郎はニッと笑う。

「もう完全に沼ってんじゃないか。好き、なんてとっくに通り越してるぞ」
「そうなのか?」
「ああ。けど、デッドラインは9月25日だ。おちおちしてられない。決める時は決めろよ、優吾」

そう言って光太郎は、気合いを入れるように優吾の肩を叩いた。
< 66 / 93 >

この作品をシェア

pagetop