優しい雨が降る夜は
車が揺れるのに合わせて、ふらふらと身体が揺れる美月を、優吾はグッと抱き寄せる。

美月は優吾の肩にクタリと寄りかかり、そのままスヤスヤと眠ってしまった。

(どういう展開でこうなったのか……。けど、嬉しい)

今、自分に身を任せている美月を身体で感じ、幸せが込み上げる。

そっと視線を落とすと、美月の長いまつ毛と透き通るように白い肌、そしてピンクに染まった頬にドキッとした。

(誰にも渡したくない。友利 健二にも、若い合コン仲間にも、誰だか知らないお見合い相手にも)

沸々とその想いが湧いてきた。

「着いたよ。立てるか?」

美月のマンションに着いて支払いを済ませると、優吾は優しく美月を揺すり起こす。

「ん……」

ゆっくり目を開けた美月は、トロンとした表情で優吾を見上げた。

「雨宮さん」

にっこり笑いながら潤んだ瞳で見つめられ、それだけでどうにかなってしまいそうになる。

「足元気をつけて」

冷静を装い、美月の身体を支えてタクシーを降りた。
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