優しい雨が降る夜は
「部屋はどこ?」
「んっと、302でしゅ」
「3階ね」
「はい!」
これは完全に酔ってるなと思いつつ、千鳥足の美月の肩を抱いて、エレベーターで部屋に向かう。
「お邪魔するよ」
足元のおぼつかない美月に、優吾も靴を脱いで部屋に上がり、リビングのソファに座らせた。
「冷蔵庫にお水あるか?」
そう言って中を見てみると、ペットボトルのミネラルウォーターがあり、取り出して美月に飲ませる。
「ふう。これでひと安心でしゅね」
「いや、こっちのセリフな」
「雨宮さんは、私が呼んだから来てくださったんでしゅか?」
え?と、隣に座った優吾は美月を見つめた。
「俺を、呼んだのか?」
「はい。会いたいなーって。会えたらいいなーって」
「それは、どういう……」
「雨が降ったら、雨宮さんに会えるかなって思ってたの。でも夏になって雨が降らなくなって、ずっとずっと会えなくて。だから神様にお願いしたんです。誕生日に、雨を振らせてくださいって。でも降らなかったでしょ? だからちょっといじけて、お酒たくさん飲んじゃった……」
美月はうつむいて、子どものように呟く。
「でもやっぱり会えたから、夢の中で神様が会わせてくれたのかな? ふふっ、嬉しい」
無邪気に笑う美月を、優吾はたまらず両腕で抱きしめた。
「夢じゃないよ」
「え?」
「夢じゃない。俺もずっと会いたかった。気持ちばかりが募って、どうしようもなく焦がれて。今、こうしてまた会えて、心から嬉しい。俺はいつの間にかこんなにも、君のことが好きだったんだ」
「雨宮さん……」
美月も優吾の背中にそっと手を添える。
「夢の中なら、言ってもいいよね? 私もあなたが大好きなの」
優吾の胸がキュッと切なさで締めつけられた。
「俺もだ。もう二度と離したくない。君を誰にも渡さない」
「ずっとそばにいてくれるの?」
「ああ、もちろん。ずっと俺のそばにいろ」
「嬉しい……。雨じゃないけど、夢だから会えたのね」
「まだ言ってる。夢じゃないってば」
「雨じゃない?」
「違う。夢じゃない」
その時、かすかにサーッという雨の音が聞こえてきて、優吾は顔を上げる。
カーテンの隙間から、窓ガラスに雨粒が降っているのが見えた。
「違う、やっぱり雨だった」
「でしょう? やっぱり夢だった」
「いやだから、雨だから夢じゃないって」
美月はキョトンと優吾を見上げる。
「夢だけど、夢じゃない?」
優吾はふっと笑みをもらした。
「そうだな。夢だけど、夢じゃないよ」
「ふふふ、良かった」
「25歳の誕生日、おめでとう」
「ありがとう! 嬉しい」
そう言うと、美月は安心したように身体の力を抜いて、優吾に抱きつく。
可愛らしさに優吾が頭をなでていると、いつしか美月はスーッと眠りに落ちていった。
「んっと、302でしゅ」
「3階ね」
「はい!」
これは完全に酔ってるなと思いつつ、千鳥足の美月の肩を抱いて、エレベーターで部屋に向かう。
「お邪魔するよ」
足元のおぼつかない美月に、優吾も靴を脱いで部屋に上がり、リビングのソファに座らせた。
「冷蔵庫にお水あるか?」
そう言って中を見てみると、ペットボトルのミネラルウォーターがあり、取り出して美月に飲ませる。
「ふう。これでひと安心でしゅね」
「いや、こっちのセリフな」
「雨宮さんは、私が呼んだから来てくださったんでしゅか?」
え?と、隣に座った優吾は美月を見つめた。
「俺を、呼んだのか?」
「はい。会いたいなーって。会えたらいいなーって」
「それは、どういう……」
「雨が降ったら、雨宮さんに会えるかなって思ってたの。でも夏になって雨が降らなくなって、ずっとずっと会えなくて。だから神様にお願いしたんです。誕生日に、雨を振らせてくださいって。でも降らなかったでしょ? だからちょっといじけて、お酒たくさん飲んじゃった……」
美月はうつむいて、子どものように呟く。
「でもやっぱり会えたから、夢の中で神様が会わせてくれたのかな? ふふっ、嬉しい」
無邪気に笑う美月を、優吾はたまらず両腕で抱きしめた。
「夢じゃないよ」
「え?」
「夢じゃない。俺もずっと会いたかった。気持ちばかりが募って、どうしようもなく焦がれて。今、こうしてまた会えて、心から嬉しい。俺はいつの間にかこんなにも、君のことが好きだったんだ」
「雨宮さん……」
美月も優吾の背中にそっと手を添える。
「夢の中なら、言ってもいいよね? 私もあなたが大好きなの」
優吾の胸がキュッと切なさで締めつけられた。
「俺もだ。もう二度と離したくない。君を誰にも渡さない」
「ずっとそばにいてくれるの?」
「ああ、もちろん。ずっと俺のそばにいろ」
「嬉しい……。雨じゃないけど、夢だから会えたのね」
「まだ言ってる。夢じゃないってば」
「雨じゃない?」
「違う。夢じゃない」
その時、かすかにサーッという雨の音が聞こえてきて、優吾は顔を上げる。
カーテンの隙間から、窓ガラスに雨粒が降っているのが見えた。
「違う、やっぱり雨だった」
「でしょう? やっぱり夢だった」
「いやだから、雨だから夢じゃないって」
美月はキョトンと優吾を見上げる。
「夢だけど、夢じゃない?」
優吾はふっと笑みをもらした。
「そうだな。夢だけど、夢じゃないよ」
「ふふふ、良かった」
「25歳の誕生日、おめでとう」
「ありがとう! 嬉しい」
そう言うと、美月は安心したように身体の力を抜いて、優吾に抱きつく。
可愛らしさに優吾が頭をなでていると、いつしか美月はスーッと眠りに落ちていった。