優しい雨が降る夜は
夢と現実
その日の仕事を終えてマンションに戻った美月は、そそくさと靴を脱ぎ、ソファに座った。

スマートフォンを取り出すと、今朝優吾と交換したばかりの連絡先を表示する。

(えっと、まずはお詫びと……)

そう思いながらメッセージを打ち始めると、ガチャッと部屋のドアが開いて美空が声をかけてきた。

「お帰り、お姉ちゃん。聞いた? 優吾さん、会社で倒れたらしいよ」

えっ!と、美月は驚いて顔を上げる。

「雨宮さんが? それ、ほんとなの?」
「うん。さっきこうちゃんから連絡あったの。優吾さん、オフィスでオンラインミーティングが終わって立ち上がったら、そのままふらっとよろけて倒れ込んだみたい。熱が高くて、今こうちゃんがタクシーでマンションまで送り届けてるところなんだって」
「熱が!? そんな、私のせいだわ」

美月は立ち上がると、バッグを掴んで玄関に戻る。

「お姉ちゃん! どこ行くの?」
「雨宮さんのマンション。熱が出たのは私のせいなの」
「待って、私も行く」
「美空はうちにいて」

そう言ったが、エントランスでタクシーを待つ間に美空も下りてきた。

「私も一緒に行く。お姉ちゃんが心配だもん」
「……ありがとう、美空」

二人でタクシーに乗り、優吾のマンションに向かった。
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