お抹茶王子にキョーミないですっ!
「なに言ってんの。スズ、大の仲良しだったじゃない」


 忘れちゃった? とスマホを操作する。


「ほら」と見せられた画面には、あの日の和服美人と幼いわたしが仲良く写っていた。


「ほんと美人だったよね。千菊くん。本物の女の子よりもかわいかったもん」


 え。え……。

 ええええええええっ!?


 もう中三だもんね、どんなふうになってた? もしかしてめっちゃんこイケメンなんじゃない? あーん、お母さんも会いたいわぁ。


 ごめんだけど返事は全然できなかった。

 わたしの目線はもうスマホに釘付けだったから。


「──お(きく)ちゃん」


 つぶやくように、口が動いた。
 動いてから、ああそうだ、と記憶が甦る。


「『お菊ちゃん』だ……」


 やっとスマホから離れた目線は宛もなく宙をさまよう。

 待って。待ってね?

 え。は? つまり、あの日の『お菊ちゃん』が、今日の『龍崎先輩』ってことなの……?

 いや、いや待って。そんなはずなくない? だって。


「そんなはずなくない!?」


 思わず大声を出すと、お母さんは一瞬キョトンとしてから「うふふ」と笑った。

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