お抹茶王子にキョーミないですっ!
 さわ、とまた風が抜けた。公園の桜の木の葉っぱがちらちらと朝日に照りながら揺れる。


「マヨに……友達に強引に連れて来られて、その、流されてっていうか」

「してよ。入部」

「え」

「『旅は道連れ』って言うじゃない。こうなったのもなにかの(えん)。僕はスズちゃんと部活がしたい」

「……な、なんで」


 そんなにまっすぐ見られたんじゃ、「あなたと関わりたくない」なんて言えないじゃないですか。


「せっかく再会できたんだから」

「それは、……わたしも嬉しかったですけど」


 まさか男の子だなんて思ってませんでしたけど。


「ああそうだ。僕の昔のことは、なるべく他人(ひと)には言わないでほしいんだ」

「え……」


 昔のこと、って、女の子の姿だったってこと?


 ちょうど赤信号で足が止まる。大きなトラックがごうごう鳴りながらわたしたちの前を横切って行った。


「口止めされてるんだ。母から。僕のあれを知ってるのは学校ではさつきさんとスズちゃんだけだから。よろしく」


 驚きつつも、こくり、と頷いて返した。

 先輩は「どうもありがとう」と笑って「お礼にひとつ秘密を明かそう」と言い出した。


「な、なんですか」
「耳を貸して」

< 19 / 22 >

この作品をシェア

pagetop