お抹茶王子にキョーミないですっ!
 放課後。部活紹介があった今日はさっそく部活見学ができる。仮入部も受付開始なんだって。


 じつはわたしはなんだかんだ言って、吹奏楽部にしようかな、と思ってたんだよね。

 だって演奏、カッコよかったし。去年マヨに連れられて仕方なく行った演奏会だったけど、行ってみたら結構楽しかったし。

 だから今度は、わたしも演奏する側に────


「スズぅ〜」

「……へ」

「一緒にいこ? 茶道部!」

「いや、わたしは!」


「へ」と見つめ合った。


「……やだやだやだ! スズお願い。同じ部活にしようよぅ」

「え…………と」


 たしかに部活って大事かも。これが違うと当然一緒にいられる時間は減るし、部活だけの友達関係だってできちゃう。そうしたらわたしとマヨも……?


 でもでも!

 わたしだって自分で決めないと!


「マヨ、わたし吹」「その前にトイレだ」

「へ」


 もしかしてマヨという自由奔放な友達を持った時点で、わたしの運命は決まってたんじゃないか、って、あとからちょっとだけ思った。

 だって向かったトイレがちょうど茶道部の部室の近くで。(教室と同じ階だったんだよね)

 知らぬ間に茶道部見学の人だかりに呑まれてたんだもん〜! うぎゃあー、押さないでぇー!


「お静かに! ここは静寂の中で茶の湯をたのしむ『茶道部』です。『お抹茶王子』だの、くだらない興味本位の人は今すぐお帰りください」


 しゅぴんっ!


 まっすぐに空気を裂いて飛ぶ矢のような声だった。


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