桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
無事だとは聞いていたけれど、こうしてまた会えたこと。ぼっと息がでる。
「私も、嬉しい! でも私の嬉しいはアリスの嬉しい以上の嬉しいなんだからね!」
メアリーの天使のような笑顔に、悲しい気持ちはやっと薄まってくれて。自分でも頬が緩んでいくのを感じる。
「グリフォン、メアリー。偵察ありがとうございます。海ガメ、もしかしてその翼は、呪いなのですか」
「呪いで翼があるわけじゃないですー。僕の呪いを語るには、あそこの使えないコックも語らなきゃならないですけどー、本当にいいですかねー?」
海ガメはグリフォンに確認をとるように視線を向ける。グリフォンは相変わらずの不機嫌だけれど、何だか迷っているような顔をしている。
「もう、いいんじゃねーの。この先呪いが解けるなら、嘘をつく必要はない」
「嘘? ねぇ、二人は何を」
「しっ、静かに」
白ウサギに口を塞がれ、私の言葉は海ガメとグリフォンには届かなかった。口を塞がれた理由が分からなくて白ウサギを見上げると、すみませんと謝られた。
「葛藤、しているんだ」
ポツリ、とチェシャ猫が呟いた言葉に、私は先程から言葉に迷いを含ませるグリフォンを見た。
「本当は、ヤだけど。俺、お前のこと嫌いだけど、俺だって絆が、記憶がないわけじゃないし。守りたい決意、今でもある。だから俺から喋るのは、嫌だ。けど」
「鬱陶しいですねぇ。僕はもう隠す必要はないと思います。君に守られるのは虫酸が走っていましたしねぇ」
「なっ! お前、まじムカつく!」
一触即発。前回は喧嘩とは言えない、海ガメの一方的なグリフォンいびりだったけど、今回は違う。二人は、喧嘩しながらもお互いを想っている。相手を想っての、喧嘩。
「もう、素直じゃないよね、二人共」
メアリーがこそりと耳元で囁く。仲が良いのか悪いのか、なんてきっとくだらない疑問で。仲が良いこと、二人だけの絆があることは伝わってくる。
「ちなみに、君に何か押し付けられるなんてごめんなんでー、喋るのが嫌なら、アリスに頼みましょうかぁ」
「え?」
「勝手にすれば。とにかくオレは喋るのは嫌だし」
「私?」
いつの間にか、二人の視線は私に注がれている。じっ、と双方に見つめられて変な汗が出てくる。意固地な二人は、どうやら自分から喋るのが嫌で私を利用したいらしい。巻き込まれた気がしてならない。
「僕らの呪い、気になりますよねー? ということでぇ、今度こそ、嘘を見破ってください。僕らの、滑稽な嘘を」
説明を求めるように、君の番だと言うように手をこちらに向けられる。
今度こそって、どういうことだろう。海ガメは私に、何を嘘ついたの?
出会ってからのことを思い出しても、私は海ガメと特別な話をした記憶はない。ただ、自己紹介をされただけだ。そう、名前を、名前を聞いた。
『よ、よろしくね。海ガメ』
名前を呼んだ時、違和感があった。その感覚はすぐに流されてしまったけれど。
『海ガメって本当に名前もがっ!』
『困りますねー。フフ、妙な事は口にしない方がいいですよー?』
『やっぱりアリスには分かるんですねぇ』
そう、名前を呼んだだけなのに口を塞がれて、それで私、どうして疑問符で名前を呼んだんだろう?
『海ガメは何かを隠している? ううん。それだけじゃない。もしかして海ガメは何かを隠し、嘘をついている?』
『さっきの話、話てくれなそうだな。それに、聞かない方が良さそう』
『秘密事のようだし、何より今も感じている違和感の正体が掴めない。これも呪いに関係しているのかな――』
「私も、嬉しい! でも私の嬉しいはアリスの嬉しい以上の嬉しいなんだからね!」
メアリーの天使のような笑顔に、悲しい気持ちはやっと薄まってくれて。自分でも頬が緩んでいくのを感じる。
「グリフォン、メアリー。偵察ありがとうございます。海ガメ、もしかしてその翼は、呪いなのですか」
「呪いで翼があるわけじゃないですー。僕の呪いを語るには、あそこの使えないコックも語らなきゃならないですけどー、本当にいいですかねー?」
海ガメはグリフォンに確認をとるように視線を向ける。グリフォンは相変わらずの不機嫌だけれど、何だか迷っているような顔をしている。
「もう、いいんじゃねーの。この先呪いが解けるなら、嘘をつく必要はない」
「嘘? ねぇ、二人は何を」
「しっ、静かに」
白ウサギに口を塞がれ、私の言葉は海ガメとグリフォンには届かなかった。口を塞がれた理由が分からなくて白ウサギを見上げると、すみませんと謝られた。
「葛藤、しているんだ」
ポツリ、とチェシャ猫が呟いた言葉に、私は先程から言葉に迷いを含ませるグリフォンを見た。
「本当は、ヤだけど。俺、お前のこと嫌いだけど、俺だって絆が、記憶がないわけじゃないし。守りたい決意、今でもある。だから俺から喋るのは、嫌だ。けど」
「鬱陶しいですねぇ。僕はもう隠す必要はないと思います。君に守られるのは虫酸が走っていましたしねぇ」
「なっ! お前、まじムカつく!」
一触即発。前回は喧嘩とは言えない、海ガメの一方的なグリフォンいびりだったけど、今回は違う。二人は、喧嘩しながらもお互いを想っている。相手を想っての、喧嘩。
「もう、素直じゃないよね、二人共」
メアリーがこそりと耳元で囁く。仲が良いのか悪いのか、なんてきっとくだらない疑問で。仲が良いこと、二人だけの絆があることは伝わってくる。
「ちなみに、君に何か押し付けられるなんてごめんなんでー、喋るのが嫌なら、アリスに頼みましょうかぁ」
「え?」
「勝手にすれば。とにかくオレは喋るのは嫌だし」
「私?」
いつの間にか、二人の視線は私に注がれている。じっ、と双方に見つめられて変な汗が出てくる。意固地な二人は、どうやら自分から喋るのが嫌で私を利用したいらしい。巻き込まれた気がしてならない。
「僕らの呪い、気になりますよねー? ということでぇ、今度こそ、嘘を見破ってください。僕らの、滑稽な嘘を」
説明を求めるように、君の番だと言うように手をこちらに向けられる。
今度こそって、どういうことだろう。海ガメは私に、何を嘘ついたの?
出会ってからのことを思い出しても、私は海ガメと特別な話をした記憶はない。ただ、自己紹介をされただけだ。そう、名前を、名前を聞いた。
『よ、よろしくね。海ガメ』
名前を呼んだ時、違和感があった。その感覚はすぐに流されてしまったけれど。
『海ガメって本当に名前もがっ!』
『困りますねー。フフ、妙な事は口にしない方がいいですよー?』
『やっぱりアリスには分かるんですねぇ』
そう、名前を呼んだだけなのに口を塞がれて、それで私、どうして疑問符で名前を呼んだんだろう?
『海ガメは何かを隠している? ううん。それだけじゃない。もしかして海ガメは何かを隠し、嘘をついている?』
『さっきの話、話てくれなそうだな。それに、聞かない方が良さそう』
『秘密事のようだし、何より今も感じている違和感の正体が掴めない。これも呪いに関係しているのかな――』