敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「……先日のお茶会で、少し耳にしまして……。もし、それで両国の貿易に不利益が生じるようなことがあれば……」

 言いかけた言葉に、エルフナルドの表情がわずかに険しくなる。

「それも茶会で聞いたというのか?」

 その変化に気付きながらも、ユリアは引かなかった。

「……もし、それが国のためになるのなら……私は、陛下の判断を妨げる存在であってはいけないと思いまして……」
「それが、王として私がすべきことだと――思っているのか?」

 苛立ちを含んだ声に、ユリアははっとして頭を下げる。

「い、いえ……そのようなつもりでは……」
「……我が国とルトアは長年の繋がりがある。婚姻を結ばずとも、関係が途切れることはない。キャロル姫も、そんなことで縁を切るような女ではない」

 エルフナルドは、きっぱりと言い切った。

「それに、あの日も言ったはずだ。娶る相手は自分で決めると。この話は、二度とするな」
「……出過ぎた真似を致しました。申し訳ありません……」

 ユリアは、深く頭を下げた。

「分かったのなら、それでいい」

 低く告げられたその声が、静かに胸に沈んだ。

 ――私は、陛下に何と言ってほしかったのだろう。

 その答えを、自分で口にすることができなかった。
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