敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「……そうでしたか。でも、そんな事情があったのに、昨日はあの子を助けてくださいました。私では救えなかった命です。感謝しております。ですから、そんな顔なさらないでください。私は……ユリア様を誇りに思います」
ユリアは言葉を失った。
その言葉を受け止める資格が、自分にはない気がした。
「いいえ……私の力は……こんな力は、本当は、ない方がいいのです……。誇らしいだなんて……」
ユリアは頭を抱えるようにし、首を横に振った。
「私が力を持っていることは、今では誰も知りません。だから、使わずに生きていけば問題はないと思っていました……。でも……アリシアやクリック様が襲われて……もしかしたら、誰かが私の力を探っているのではと……。もし、この力が公になれば……」
そこまで言ったところで、ユリアの体は小さく震え出し、しゃがみ込むようにして自分を抱きしめた。
「ユリア様……」
クリックはすぐに傍に寄り、視線を合わせる。
「お願いします……どうか、私の力のことは伏せていてください……。これ以上、誰も巻き込みたくないのです……」
ユリアは縋るようにクリックの手を握りしめた。
「大丈夫ですよ、ユリア様。落ち着いてください」
クリックはそう言って、震える背を静かに撫でた。
「……昨日の帰り道で、ユリア様のご様子がおかしいことには気付いておりました。何か事情がおありなのだろうとも。あの場にいた者には、ユリア様のお話を伺うまでは伏せておくよう、私からお願いしております。どうか、ご安心ください」
ユリアはゆっくりと顔を上げ、クリックを見つめた。
「……ありがとうございます。申し訳ありません……」
震えていた体が、ほんの少しだけ落ち着いた。
それでも、胸の奥に沈んだものまでは、拭いきれなかった。
安堵と同時に、守ると決めた約束を、自分の手で破った――その感覚だけが、胸の奥に静かに残っていた。
ユリアは言葉を失った。
その言葉を受け止める資格が、自分にはない気がした。
「いいえ……私の力は……こんな力は、本当は、ない方がいいのです……。誇らしいだなんて……」
ユリアは頭を抱えるようにし、首を横に振った。
「私が力を持っていることは、今では誰も知りません。だから、使わずに生きていけば問題はないと思っていました……。でも……アリシアやクリック様が襲われて……もしかしたら、誰かが私の力を探っているのではと……。もし、この力が公になれば……」
そこまで言ったところで、ユリアの体は小さく震え出し、しゃがみ込むようにして自分を抱きしめた。
「ユリア様……」
クリックはすぐに傍に寄り、視線を合わせる。
「お願いします……どうか、私の力のことは伏せていてください……。これ以上、誰も巻き込みたくないのです……」
ユリアは縋るようにクリックの手を握りしめた。
「大丈夫ですよ、ユリア様。落ち着いてください」
クリックはそう言って、震える背を静かに撫でた。
「……昨日の帰り道で、ユリア様のご様子がおかしいことには気付いておりました。何か事情がおありなのだろうとも。あの場にいた者には、ユリア様のお話を伺うまでは伏せておくよう、私からお願いしております。どうか、ご安心ください」
ユリアはゆっくりと顔を上げ、クリックを見つめた。
「……ありがとうございます。申し訳ありません……」
震えていた体が、ほんの少しだけ落ち着いた。
それでも、胸の奥に沈んだものまでは、拭いきれなかった。
安堵と同時に、守ると決めた約束を、自分の手で破った――その感覚だけが、胸の奥に静かに残っていた。