敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
――力を失った自分を長年幽閉してきた父。
戦争に敗れ、「こういう時のために生かしていた」と言って、自分を敵国へ差し出した父。
そんな父が、今さら「会いたい」などと言うだろうか。
――何か、裏があるに違いない……。
でも……一体、何のために……?
「……おい。どうした?」
顔色を失ったユリアを見て、エルフナルドが声をかけた。
「……いえ。何でもございません……」
ユリアが慌てて手紙を閉じようとした瞬間、エルフナルドがその手を掴んで制した。
「……何でもない顔ではないだろう。見せてみろ」
エルフナルドは手紙を取り、目を通した。
読み終えた後もすぐには口を開かず、紙面ではなくユリアの顔色を静かに見ていた。
「父上の具合が悪いと書いてあるではないか……。心配せずとも、帰るなとは言わない。馬車を手配する。明日にも――」
心臓が強く跳ねた。
「帰りません!!」
ユリアは、思わず声を荒げていた。
その声が、ただの心配から出たものではないことを、エルフナルドは悟った。
「あ……いえ、その……大きな声を出して申し訳ありません。でも……馬車の手配は不要です。私は、ユーハイムには帰りません……」
震える手を抑えるように、ユリアはスカートを強く握りしめた。
「……私は、戻りません。父には……自分で、断りの手紙を書きます……」
「……わかった」
エルフナルドは、それ以上問い詰めることをせず、短くそう言った。
「お前がそう言うのであれば、それでいい」
「……ありがとうございます」
ユリアは顔を上げ、かすかに安堵した表情を浮かべた。
戦争に敗れ、「こういう時のために生かしていた」と言って、自分を敵国へ差し出した父。
そんな父が、今さら「会いたい」などと言うだろうか。
――何か、裏があるに違いない……。
でも……一体、何のために……?
「……おい。どうした?」
顔色を失ったユリアを見て、エルフナルドが声をかけた。
「……いえ。何でもございません……」
ユリアが慌てて手紙を閉じようとした瞬間、エルフナルドがその手を掴んで制した。
「……何でもない顔ではないだろう。見せてみろ」
エルフナルドは手紙を取り、目を通した。
読み終えた後もすぐには口を開かず、紙面ではなくユリアの顔色を静かに見ていた。
「父上の具合が悪いと書いてあるではないか……。心配せずとも、帰るなとは言わない。馬車を手配する。明日にも――」
心臓が強く跳ねた。
「帰りません!!」
ユリアは、思わず声を荒げていた。
その声が、ただの心配から出たものではないことを、エルフナルドは悟った。
「あ……いえ、その……大きな声を出して申し訳ありません。でも……馬車の手配は不要です。私は、ユーハイムには帰りません……」
震える手を抑えるように、ユリアはスカートを強く握りしめた。
「……私は、戻りません。父には……自分で、断りの手紙を書きます……」
「……わかった」
エルフナルドは、それ以上問い詰めることをせず、短くそう言った。
「お前がそう言うのであれば、それでいい」
「……ありがとうございます」
ユリアは顔を上げ、かすかに安堵した表情を浮かべた。