敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
62 父の目に映る価値
久々の再会にもかかわらず、その瞳に宿るのは情ではなく、冷ややかな光だけだった。
「な、何故……」
ユリアの額から、大粒の汗が伝い落ちた。
「何故だと?」
シルクベイン王は眉一つ動かさず、淡々と答えた。
「私はお前に手紙を送ったはずだ。だが、お前は断った。……だから別の者を使い、国へ連れ戻した。それだけのことだ」
「……私は、すでに敵国に嫁いだ身です。普通、自国へ戻ることなど――」
ユリアは言葉を切り、深く頭を下げた。
「なかなか許されることではありません……」
しばしの沈黙の後、ユリアは恐る恐る視線を上げた。
「た、体調は……もう、よろしいのですか……?」
「ふっ……」
シルクベイン王は小さく鼻で笑った。
「私の体調など、気にもしていないくせに。まあ、それはよい」
声の調子が、わずかに変わる。
「……私は、お前にどうしても確認したいことがある。こうして強引にでも連れ戻した理由が、分からぬほど愚かではあるまい」
語尾に込められた圧に、ユリアは思わず一歩後ずさった。
「…………」
「黙っていれば、やり過ごせるとでも思ったか?」
「な、何故……」
ユリアの額から、大粒の汗が伝い落ちた。
「何故だと?」
シルクベイン王は眉一つ動かさず、淡々と答えた。
「私はお前に手紙を送ったはずだ。だが、お前は断った。……だから別の者を使い、国へ連れ戻した。それだけのことだ」
「……私は、すでに敵国に嫁いだ身です。普通、自国へ戻ることなど――」
ユリアは言葉を切り、深く頭を下げた。
「なかなか許されることではありません……」
しばしの沈黙の後、ユリアは恐る恐る視線を上げた。
「た、体調は……もう、よろしいのですか……?」
「ふっ……」
シルクベイン王は小さく鼻で笑った。
「私の体調など、気にもしていないくせに。まあ、それはよい」
声の調子が、わずかに変わる。
「……私は、お前にどうしても確認したいことがある。こうして強引にでも連れ戻した理由が、分からぬほど愚かではあるまい」
語尾に込められた圧に、ユリアは思わず一歩後ずさった。
「…………」
「黙っていれば、やり過ごせるとでも思ったか?」