敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「……カリル。とりあえずルトアへ向かう。――あいつを探す」

 低く、しかし迷いのない声だった。

「……俺は、必要か?」

 サリトスが静かに問いかける。

「お前は引き続き、この町の警護を任せる。こちらのことは、私が何とかする」

 エルフナルドは視線を逸らさず、そう言い切った。

「……御意」

 サリトスは一瞬だけ目を細め、エルフナルドを真っ直ぐ見つめたまま、小さく頭を下げた。
 
 カリルと共に急ぎ馬を走らせ、ユリアの元へ向かっていたその途中――
 向かい側から、こちらへ必死に馬を走らせてくるアリシアの姿が見えた。

「陛下!!」

 アリシアは慣れない馬を懸命に制し、手綱を強く引いた。

「陛下……大変なんです。ユリア様が、何者かに攫われてしまいまして……」
「やはり、そうか……。護衛の者たちはどうした? 他に連れ去られた者はいないのか?」
「……私たちは何者かに眠らされてしまい……。連れ去られたのは、ユリア様お一人だけです……」

 声を詰まらせ、アリシアは深く頭を下げた。

「申し訳ありません……。私は……ユリア様に助けていただいたのに……!! どうか、陛下……ユリア様を、お助けください……!」
「ああ。心配するな。――必ず取り戻す」

 エルフナルドは即座に言い切った。

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