敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

72 揺れる想い

 ユリアは、淹れたばかりの紅茶を一口飲んでから、エルフナルドに声をかけた。

「エルフナルド様、今夜の紅茶はいかがですか? 実は、私が庭園で育てたハーブとカモミールを一緒に煎じてみたのですが……」
「ああ。美味いな」

 その一言に、ユリアはぱっと表情を明るくし、にっこりと笑った。

「おかわりもございますので、いつでも言ってくださいね」
「……ユリア」

 その声の調子に、ユリアはマグカップをテーブルに置いた。

「ど、どうかされたのですか?」
「……私の留守中に、フレドリックに会ったのだろう。どんな話をしていた?」

 一瞬、ユリアは言葉を失ったが、隠し通せることではないと悟り、静かに口を開いた。

「……エルフナルド様とのお子が近いのではないかと。先王陛下も期待していると……そう言われました。それだけです。他には、何も」

 ユリアは、まっすぐエルフナルドを見つめた。

「それなら、なぜセルビアに話さなかった? 隠すような話ではないだろう」
「……そう、なのですが……」

 視線を逸らし、俯く。

「どうした。思っていることがあるなら言え。私は、お前の心を知りたい」

 エルフナルドは、そっとユリアの手に触れた。

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