敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「毎夜、寝室を共にしていることは知っている。
――で?
一度でも、あいつはお前を抱いたか?」
「……」
ユリアは答えない。
「……そうだろうな」
吐き捨てる。
「お前が子を望まぬと言ったか? エルフナルドは、それで良いと言ったか?」
怒気を孕んだ声が、書庫を震わせた。
「自分の立場が分からぬのか。お前の役目はただ一つ――エルフナルドとの子を作ることだ。それ以外に、お前の存在価値などない」
言い終えると、先王はゆっくりと息を吐いた。
「お前に、最後の機会をくれてやる」
冷え切った声が、突き放すように告げる。
「一週間だ。お前がエルフナルドに“子供は欲しくない”と言ったのなら――今度は逆に、せがんでみろ。お前が望めば、あいつは子種を与えるやもしれん」
淡々と、残酷な条件を並べ立てる。
「それで子を身ごもることができたなら、王位はエルフナルドのままとしよう。だが、できなければ――あいつは私との条件を反故にしたということだ」
ユリアの喉が、ひくりと鳴った。
「その場合、エルフナルドから王位を剥奪する」
「お待ちください……!エルフナルド様は――」
「できぬなら、別の手段を取るまでだ」
遮るように、声が鋭くなる。
「王位は剥奪する。――言ったはずだ。お前に、選択肢などない」
吐き捨てるように言うと、先王は踵を返し、書庫の出口へと歩き出した。
――で?
一度でも、あいつはお前を抱いたか?」
「……」
ユリアは答えない。
「……そうだろうな」
吐き捨てる。
「お前が子を望まぬと言ったか? エルフナルドは、それで良いと言ったか?」
怒気を孕んだ声が、書庫を震わせた。
「自分の立場が分からぬのか。お前の役目はただ一つ――エルフナルドとの子を作ることだ。それ以外に、お前の存在価値などない」
言い終えると、先王はゆっくりと息を吐いた。
「お前に、最後の機会をくれてやる」
冷え切った声が、突き放すように告げる。
「一週間だ。お前がエルフナルドに“子供は欲しくない”と言ったのなら――今度は逆に、せがんでみろ。お前が望めば、あいつは子種を与えるやもしれん」
淡々と、残酷な条件を並べ立てる。
「それで子を身ごもることができたなら、王位はエルフナルドのままとしよう。だが、できなければ――あいつは私との条件を反故にしたということだ」
ユリアの喉が、ひくりと鳴った。
「その場合、エルフナルドから王位を剥奪する」
「お待ちください……!エルフナルド様は――」
「できぬなら、別の手段を取るまでだ」
遮るように、声が鋭くなる。
「王位は剥奪する。――言ったはずだ。お前に、選択肢などない」
吐き捨てるように言うと、先王は踵を返し、書庫の出口へと歩き出した。