敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「も、もう……すぐお休みになりますか? それとも今日は……お酒でも召し上がりますか?」

 そう言って、ユリアは話題を変えるように、酒瓶の並ぶ棚へと向かった。

「そうだな。せっかくだ、少し頂こうか」
「何を……お飲みになりますか?」

 棚の扉を開け、いくつかの瓶を見せながら尋ねる。

「ワインにしよう。もう……開けられるだろう?」

 エルフナルドは、どこか意味ありげに、口元を緩めた。

「もちろんです。以前、エルフナルド様が開けていらしたのを、ちゃんと見ていましたから」

 ユリアはそう言ってワインボトルを手に取り、慣れないながらもオープナーを使って、静かに栓を抜いた。
 
「お前も少し飲んでみるか?」

 エルフナルドは立ち上がり、ユリアに近付くとグラスを差し出した。

「……はい。頂いてみます」

 すっかり断られると思っていたエルフナルドは、一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、すぐにグラスにワインを注ぎ、ユリアの前に置いた。

「少しずつ飲むんだぞ」

 そう言って、エルフナルドは自分の分を一気に飲み干した。
 その少し大人びた仕草に、ユリアは思わず対抗するように、ワインを一息に飲んだ。

「張り合おうとしなくていい! もう少しゆっくり飲め」
「大丈夫ですよ。……ん、これ美味しいですね! 私、思ったより飲めるようです」

 ユリアはそう言うと、残りのワインも飲み干した。

「……調子に乗ると後が大変だぞ」

 エルフナルドは、少し呆れたようにため息をつきながらユリアを見つめた。
 それから二人は、言葉少なにワインを嗜んだ。

「そろそろ……ね、寝ましょう!」

 不意に、ユリアは立ち上がり、エルフナルドの腕を引いた。

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