敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「いきなりどうした? 酔っているのか?」
「全然、酔ってません!」

 足取りは少しふらついていたが、意識ははっきりしていた。
 二人はそのままベッドに横になり、向かい合う。

「お前は酒を飲むと、少し幼くなるな」

 エルフナルドはそう言って、ユリアの頭を撫でた。

「……私は、大人っぽくなりたいです。エルフナルド様に、似合うように……」

 ユリアは彼の胸元に顔を埋めるようにして、強く抱きついた。

「そういう素直な一面が見られるなら、また酒も悪くないな」

 その言葉に、ユリアはそっと顔を上げ、キスをねだるように見つめた。
 エルフナルドは応えるように、静かに唇を重ねた。

「ん……」

 ユリアは戸惑いながらも、エルフナルドの背に腕を回した。

 ――幸せで、心地よくて。
 先王の言葉さえ、忘れてしまいそうになるほどに。

 やがて、エルフナルドはそっと唇を離した。

「……もう、寝ようか」

 その一言で、胸の奥がひやりと冷えた。

 ――違う。終わっちゃいけない。
 私には……やらなければならないことが……。

 ユリアは、そっとエルフナルドを見つめた。
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