敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

81 消える希望

「うるさい!!」

 鋭い怒声と共に、乾いた音が部屋に響いた。
 次の瞬間、ユリアの頬に強い衝撃が走り、視界が大きく揺れる。

 床に倒れ込んだユリアを、フレドリックは荒い息を吐きながら見下ろしていた。

「――お前に、僕の気持ちなど……分かる訳がない」

 震える声には、怒りと焦燥が混じっていた。

「もう僕には、貴方と子を作る道以外に生きる道はないんだ!だから……知った口を聞くな!!」

 乱暴に胸ぐらを掴まれ、抵抗する間もなく引きずられる。
 ベッドに投げ出され、覆い被さられた瞬間、逃げ場は完全に失われた。

「いやっ!! やめて!!」

 必死に声を上げても、フレドリックの耳には届かない。
 服が引き裂かれる音だけが、無情に響いた。

「やめてっ……お願い……」
「黙れ!!」

 フレドリックの瞳に映っているのは、ただ剥き出しの怒りだけだった。
 怒りに身を委ね、何も考えようとしない――いや、考えることを拒絶しているかのようだった。

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