敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「この王宮に、薬師の方はいらっしゃらないの?」
ユリアがそう尋ねると、アリシアは少し考えるようにしてから答えた。
「三年前ほど前までは、数名の薬師が王宮に常駐しておられました。しかし今は、王宮から一番近い町へ拠点を移されているそうです」
「そうなの……」
「王宮には王宮医官がおりますので、その医官から依頼があった際に、薬師が薬を携えて王宮へ参られる形になっております。ただ……」
「ただ?」
「依頼がなくとも、時折、王宮の薬事室へ顔を出されることがある、と聞いたことがございます」
「その薬事室は、どこにあるの?」
ユリアは庭園ごしに王宮の建物を見渡しながら問いかけた。
すると、アリシアは庭園の奥を指さした。
「この庭園の先でございます。あのブルーの建物が書庫で、その隣に続いているのが薬事室です」
「書庫もあるのね!」
思わず声を弾ませ、ユリアは指差された方向へ歩き出した。
「ねえ、書庫には入ってもいいの?」
「陛下より、西棟の範囲であれば、王妃様は自由に行動してよいと仰せつかっておりますので、問題ないかと……」
「それなら、少しだけお邪魔させてもらうわね」
そう言って、ユリアはウキウキした足取りで書庫へ足を踏み入れた。
中に入った瞬間、ユリアは思わず息を呑んだ。
壁一面に並ぶ本――これまでに目にしたことのないほどの貯蔵量だった。
「……すごい量ね」
「リヒター様が本がお好きで、さまざまな国から集められていたそうですよ」
ユリアは棚の間を歩き回りながら、興味津々といった様子で一冊、また一冊と手に取った。
「見たことのない本ばかりだわ。ねえ、アリシア。何冊かお借りして、お部屋で読んでもいいかしら?」
振り返ってそう尋ねると、目は期待で輝いていた。
ユリアがそう尋ねると、アリシアは少し考えるようにしてから答えた。
「三年前ほど前までは、数名の薬師が王宮に常駐しておられました。しかし今は、王宮から一番近い町へ拠点を移されているそうです」
「そうなの……」
「王宮には王宮医官がおりますので、その医官から依頼があった際に、薬師が薬を携えて王宮へ参られる形になっております。ただ……」
「ただ?」
「依頼がなくとも、時折、王宮の薬事室へ顔を出されることがある、と聞いたことがございます」
「その薬事室は、どこにあるの?」
ユリアは庭園ごしに王宮の建物を見渡しながら問いかけた。
すると、アリシアは庭園の奥を指さした。
「この庭園の先でございます。あのブルーの建物が書庫で、その隣に続いているのが薬事室です」
「書庫もあるのね!」
思わず声を弾ませ、ユリアは指差された方向へ歩き出した。
「ねえ、書庫には入ってもいいの?」
「陛下より、西棟の範囲であれば、王妃様は自由に行動してよいと仰せつかっておりますので、問題ないかと……」
「それなら、少しだけお邪魔させてもらうわね」
そう言って、ユリアはウキウキした足取りで書庫へ足を踏み入れた。
中に入った瞬間、ユリアは思わず息を呑んだ。
壁一面に並ぶ本――これまでに目にしたことのないほどの貯蔵量だった。
「……すごい量ね」
「リヒター様が本がお好きで、さまざまな国から集められていたそうですよ」
ユリアは棚の間を歩き回りながら、興味津々といった様子で一冊、また一冊と手に取った。
「見たことのない本ばかりだわ。ねえ、アリシア。何冊かお借りして、お部屋で読んでもいいかしら?」
振り返ってそう尋ねると、目は期待で輝いていた。