敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「もちろんでございます。ユリア様は本がお好きなのですね。でしたら、私がお持ちいたします」
「まあ……。自分で読む本なのに、人に持たせるなんてできないわ」
驚いたように言うユリアに、今度はアリシアが目を丸くした。
「ユリア様は……本当に、お姫様らしくないお方ですね」
ユリアは小さく苦笑しながら、本を抱え直した。
「アリシアは、どんな本が好きなの?」
「……私は文字が読めないので。本を読むことはありません」
一瞬、伏せられた視線の後、アリシアはすぐに微笑みを浮かべた。
「ですが……、お給金がもう少し貯まったら、文字を習いたいと思っているんです」
「そうなの」
「ニ年ほど前に、王宮付きの侍女にしていただいたばかりで……。戦争で両親を失い、村もなくなり、行くあてがなかったところを、陛下に拾っていただきました。私以外にも、同じように陛下に拾われた侍女が何人かおります」
その話を聞きながら、ユリアは昨夜のエルフナルドの冷たい言葉を思い出していた。
「……陛下は、本当はお優しい方なのね」
ぽつりと零したその言葉に、アリシアは小さく頷いた。
「ねえ、アリシア。あなた、文字を習いたいのでしょう?」
ユリアは少し身を乗り出し続けた。
「だったら、私が教えるのはどうかしら? 私にできる仕事がないなら……そのくらいは、きっと許されると思うの」
「な、なりません!」
アリシアは勢いよく首を振った。
「そんなことを、王妃様にしていただくわけには……」
「雑用じゃないし、王妃の威厳には関係ないでしょう?」
食い下がるユリアに、アリシアは一歩後ずさりし、悩ましげに唇を噛んだ。
「ですが……」
「夕方のティータイムにしましょう! それなら自然だわ。ね? 私、なんだか楽しくなってきちゃった!」
まだ首を縦に振っていないアリシアをよそに、ユリアはすっかり上機嫌だった。
自分にできることを見つけた嬉しさに、その後もユリアはしばらくはしゃぎ続けていた。
「……本当に、お姫様とは思えません」
アリシアはそう小さく呟きながら、ユリアの無邪気な横顔を、どこか誇らしげに、そして微笑ましく見つめていた。
「まあ……。自分で読む本なのに、人に持たせるなんてできないわ」
驚いたように言うユリアに、今度はアリシアが目を丸くした。
「ユリア様は……本当に、お姫様らしくないお方ですね」
ユリアは小さく苦笑しながら、本を抱え直した。
「アリシアは、どんな本が好きなの?」
「……私は文字が読めないので。本を読むことはありません」
一瞬、伏せられた視線の後、アリシアはすぐに微笑みを浮かべた。
「ですが……、お給金がもう少し貯まったら、文字を習いたいと思っているんです」
「そうなの」
「ニ年ほど前に、王宮付きの侍女にしていただいたばかりで……。戦争で両親を失い、村もなくなり、行くあてがなかったところを、陛下に拾っていただきました。私以外にも、同じように陛下に拾われた侍女が何人かおります」
その話を聞きながら、ユリアは昨夜のエルフナルドの冷たい言葉を思い出していた。
「……陛下は、本当はお優しい方なのね」
ぽつりと零したその言葉に、アリシアは小さく頷いた。
「ねえ、アリシア。あなた、文字を習いたいのでしょう?」
ユリアは少し身を乗り出し続けた。
「だったら、私が教えるのはどうかしら? 私にできる仕事がないなら……そのくらいは、きっと許されると思うの」
「な、なりません!」
アリシアは勢いよく首を振った。
「そんなことを、王妃様にしていただくわけには……」
「雑用じゃないし、王妃の威厳には関係ないでしょう?」
食い下がるユリアに、アリシアは一歩後ずさりし、悩ましげに唇を噛んだ。
「ですが……」
「夕方のティータイムにしましょう! それなら自然だわ。ね? 私、なんだか楽しくなってきちゃった!」
まだ首を縦に振っていないアリシアをよそに、ユリアはすっかり上機嫌だった。
自分にできることを見つけた嬉しさに、その後もユリアはしばらくはしゃぎ続けていた。
「……本当に、お姫様とは思えません」
アリシアはそう小さく呟きながら、ユリアの無邪気な横顔を、どこか誇らしげに、そして微笑ましく見つめていた。