敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

96 戦争の真実

 コンコンッ

 ユリアの部屋をノックする音が響いた。
 扉へ視線を向けた瞬間、血相を変えたカリルが勢いよく部屋に入ってくる。
 
「陛下! 先王陛下がお目覚めになったとの報告がありました!!」
「……本当か?」

 エルフナルドは思わず椅子から立ち上がっていた。

「はい。たった今、医官より。意識ははっきりしており、会話も可能とのことです」
「分かった。すぐに行こう」

 エルフナルドは短くそう告げ、カリルと共に先王が静養している部屋へ向かった。

 あの日――エルフナルドの剣に貫かれた先王の胸の傷は深かった。
 致命傷には至らなかったものの、長く意識を失ったまま、生死の境を彷徨っていた。
 眠り続ける父を前に、エルフナルドは何度も葛藤した。

 ――この手で殺してしまいたい。
 ユリアをあそこまで追い詰めた元凶である父上を……。

 だが、同時に思い留まらせるものもあった。

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