敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
やがて先王は、ユリアに関わる全てを語り始めた。
その言葉の一つ一つが、刃のようにエルフナルドの胸を抉ったが、彼は表情を崩さず、最後まで聞き続けた。
「……これで全てだ。もう隠していることはない」
エルフナルドは静かに問いかける。
「我が国がユーハイムに戦争を仕掛けた理由は、兄上の仇討ちではなかったのですか?」
「建前だ。目的は最初から、あの娘の力だ。だが公にすれば他国に嗅ぎつけられる。だから敵討ちと資源確保を理由にした」
先王は、リヒターの死、戦争の真の意図、全てを淡々と語った。
「これで満足か?」
エルフナルドの沈黙を見て、先王は不敵に笑う。
「感情を隠しているつもりか? あの娘もそうだった。絶望に沈む人間の顔ほど、愉快なものはない」
「……何が言いたいのです?」
「あの娘に兄の最期を教えてやった時の表情は、実に――」
次の瞬間、エルフナルドの瞳が凍りついた。
「どうだ? 殺したくて仕方がないだろう? さあ、殺せ!」
低く叫ぶ王に、エルフナルドは首を横に振った。
「いいえ。貴方は殺しません」
「な……に?」
「貴方の望み通りにはならない。貴方には、生きて苦しんでもらう」
エルフナルドは背後の護衛に命じた。
「連れて行け」
「待て! 何故だ!!」
その問いに、エルフナルドは答えなかった。
先王は地下牢へと連行された。
「……よろしいのですか?」
カリルが小声で尋ねる。
「殺せば父上の思い通りだ。神経を断たれた身体で、光も届かぬ地下牢で生き続けてもらう。死ぬことすら許されぬ地獄だ。……世間には病死と伝えろ。この件は一切口外するな」
「……かしこまりました」
エルフナルドは踵を返し、再びユリアの元へと向かった。
――今度こそ。
守るために。
その言葉の一つ一つが、刃のようにエルフナルドの胸を抉ったが、彼は表情を崩さず、最後まで聞き続けた。
「……これで全てだ。もう隠していることはない」
エルフナルドは静かに問いかける。
「我が国がユーハイムに戦争を仕掛けた理由は、兄上の仇討ちではなかったのですか?」
「建前だ。目的は最初から、あの娘の力だ。だが公にすれば他国に嗅ぎつけられる。だから敵討ちと資源確保を理由にした」
先王は、リヒターの死、戦争の真の意図、全てを淡々と語った。
「これで満足か?」
エルフナルドの沈黙を見て、先王は不敵に笑う。
「感情を隠しているつもりか? あの娘もそうだった。絶望に沈む人間の顔ほど、愉快なものはない」
「……何が言いたいのです?」
「あの娘に兄の最期を教えてやった時の表情は、実に――」
次の瞬間、エルフナルドの瞳が凍りついた。
「どうだ? 殺したくて仕方がないだろう? さあ、殺せ!」
低く叫ぶ王に、エルフナルドは首を横に振った。
「いいえ。貴方は殺しません」
「な……に?」
「貴方の望み通りにはならない。貴方には、生きて苦しんでもらう」
エルフナルドは背後の護衛に命じた。
「連れて行け」
「待て! 何故だ!!」
その問いに、エルフナルドは答えなかった。
先王は地下牢へと連行された。
「……よろしいのですか?」
カリルが小声で尋ねる。
「殺せば父上の思い通りだ。神経を断たれた身体で、光も届かぬ地下牢で生き続けてもらう。死ぬことすら許されぬ地獄だ。……世間には病死と伝えろ。この件は一切口外するな」
「……かしこまりました」
エルフナルドは踵を返し、再びユリアの元へと向かった。
――今度こそ。
守るために。