敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

98 目覚めの誓い

 アリシアが執務室を出た後、エルフナルドも駆けるように執務室を後にした。
 ユリアの部屋の前に立ち、エルフナルドは扉に手をかけたまま、深く息を吸い込んだ。
 その瞬間、部屋の中から大きな物音が響いた。
 反射的に、エルフナルドは扉を押し開けた。

「……!」

 視線をベッドへ向けるが、そこにユリアの姿はない。
 嫌な予感が胸を突き抜け、エルフナルドは部屋の奥へと駆け寄った。

 ベッドの向こう側の床。
 そこに、倒れ込むようにして座り込んでいるユリアの姿があった。
 細く息をつきながら、必死に身体を起こそうとしている。
 
「ユリア!? 大丈夫か!」

 エルフナルドは膝をつき、思わずユリアの顔を覗き込んだ。
 青白い頬、わずかに乱れた呼吸。
 それでも――確かに、生きている。

「へ、陛下……」

 ユリアは驚いたように目を見開き、すぐに申し訳なさそうに視線を落とした。

「申し訳ございません……。ベッドから降りようとしたのですが……足に力が入らず……」

 言葉を紡ぎながら、ユリアは自分の手足へと目を向けた。
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