敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
次の日の朝、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
ユリアが返事をすると、静かに扉が開き、アリシアが部屋へ入ってきた。
「ユリア様、おはようございます。体調はいかがですか?」
「おはよう、アリシア。左手と両足は、相変わらずあまり動かないけれど……他は何にも問題ないわ」
そう言ってユリアは、右手で自分の両足をゆっくりと撫でた。
その仕草に、アリシアは一瞬言葉を失い、わずかに寂しそうな表情を浮かべる。
「昨晩、陛下とお話をして……とりあえず、少しでも動けるように訓練をしようと思うの。陛下が手配をしてくださって、今日の午後から訓練のために医官の方に見ていただくことになったのよ」
ユリアは一晩中考え続け、ようやく決めたのだ。
この王宮で世話になりながら、まずは“自分の身体を取り戻す”ことから始めようと。
――自分の罪を償うにも、まずは動けなければならない。
何も出来ないままでは、何一つ始められない。
その先に何をすべきかは、動けるようになってから考えればいい。
今はただ、前に進むための準備をするだけだ。
「アリシアにも、たくさん迷惑をかけると思うけれど……頑張るからね」
そう言ってユリアは、少しぎこちなく動く右手で、精一杯の力こぶを作ってみせた。
「……迷惑だなんて、とんでもございません」
アリシアは首を振り、はっきりと言った。
「陛下からも、ユリア様にお仕えするよう命を受けております。それに……私自身が、どうしてもユリア様のお手伝いをさせていただきたく、お願いしたのです」
ユリアは一瞬だけ目を伏せ、それから小さく微笑んだ。
「……ありがとう、アリシア」
ユリアがエルフナルドと離縁し王宮を離れてから、ユリア付きの侍女だったアリシアは、通常の王宮侍女として働いていた。
――皆が、私のために動いてくれている。
だからこそ……私も、応えなければ、いけない……。
ユリアが返事をすると、静かに扉が開き、アリシアが部屋へ入ってきた。
「ユリア様、おはようございます。体調はいかがですか?」
「おはよう、アリシア。左手と両足は、相変わらずあまり動かないけれど……他は何にも問題ないわ」
そう言ってユリアは、右手で自分の両足をゆっくりと撫でた。
その仕草に、アリシアは一瞬言葉を失い、わずかに寂しそうな表情を浮かべる。
「昨晩、陛下とお話をして……とりあえず、少しでも動けるように訓練をしようと思うの。陛下が手配をしてくださって、今日の午後から訓練のために医官の方に見ていただくことになったのよ」
ユリアは一晩中考え続け、ようやく決めたのだ。
この王宮で世話になりながら、まずは“自分の身体を取り戻す”ことから始めようと。
――自分の罪を償うにも、まずは動けなければならない。
何も出来ないままでは、何一つ始められない。
その先に何をすべきかは、動けるようになってから考えればいい。
今はただ、前に進むための準備をするだけだ。
「アリシアにも、たくさん迷惑をかけると思うけれど……頑張るからね」
そう言ってユリアは、少しぎこちなく動く右手で、精一杯の力こぶを作ってみせた。
「……迷惑だなんて、とんでもございません」
アリシアは首を振り、はっきりと言った。
「陛下からも、ユリア様にお仕えするよう命を受けております。それに……私自身が、どうしてもユリア様のお手伝いをさせていただきたく、お願いしたのです」
ユリアは一瞬だけ目を伏せ、それから小さく微笑んだ。
「……ありがとう、アリシア」
ユリアがエルフナルドと離縁し王宮を離れてから、ユリア付きの侍女だったアリシアは、通常の王宮侍女として働いていた。
――皆が、私のために動いてくれている。
だからこそ……私も、応えなければ、いけない……。