敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
エルフナルドが部屋を出て行った後、ユリアはベッドに横になり、目を閉じた。
「……う……うぅ……」
その夜も、ユリアは悪夢にうなされた。
「やめて……や、め……」
はっと目を覚ますと、額と首筋は汗でぐっしょりと濡れていた。
――また……あの夢……。
最近は朝まで眠れていたのに……。
身体が重く、汗を拭う気力すら湧かなかった。
「……はぁ……」
もう一度眠ろうと目を閉じたが、眠りは訪れない。
しばらくすると、部屋の扉がごく小さな音を立てて開く。
ユリアは一瞬だけぴくりと肩を揺らしたが、目を閉じたまま動かなかった。
人の気配が静かにベッドへ近づき、マットレスが遠慮がちに、わずか沈む。
次いで、額にかかる髪をそっと耳へとかけられ、布で汗を拭われた。
――この温かい手と……この香り……。
鼻の奥がつんと痛み、閉じた瞼の奥にじわりと涙が溜まっていくのを、ユリアは必死に堪えた。
やがてエルフナルドは、ゆっくりとした動きでベッドの中に入り、ユリアの背へと腕を回して抱き寄せた。
その温もりに触れた瞬間、ユリアの脳裏に、かつて毎晩のように共に眠っていた日々が鮮やかによみがえる。
――あの頃も……こうして、優しく包み込むように抱きしめてくれていた……。
ああ……私が最近、よく眠れていたのは……。
抑え込んでいた感情が胸いっぱいに広がり、瞼の奥に溜まった涙が今にも零れ落ちそうになる。
ユリアはそれを悟られまいと、顔を伏せるように、ほんのわずか身じろぎした。
「ユリア?」
かすかに名を呼ばれ、胸が跳ねる。
起きていることが知られてしまったのかと思ったが、ユリアは目を閉じたまま、何も答えなかった。
エルフナルドはそれ以上問いかけることはせず、ただ静かに、ユリアの背を撫で続けた。
――この大きな手……。
私の、大好きな……陛下の……手……香り……。
その優しさに、ユリアの心はもう抗えなかった。
おそるおそる、自分の手をエルフナルドの背に回し、その胸元へと顔を埋める。
――どうか……バレませんように……。
今日だけ……本当に、今日だけだから……。
しばらくすると、緊張がほどけるように、ユリアの意識はゆっくりと沈んでいった。
「……う……うぅ……」
その夜も、ユリアは悪夢にうなされた。
「やめて……や、め……」
はっと目を覚ますと、額と首筋は汗でぐっしょりと濡れていた。
――また……あの夢……。
最近は朝まで眠れていたのに……。
身体が重く、汗を拭う気力すら湧かなかった。
「……はぁ……」
もう一度眠ろうと目を閉じたが、眠りは訪れない。
しばらくすると、部屋の扉がごく小さな音を立てて開く。
ユリアは一瞬だけぴくりと肩を揺らしたが、目を閉じたまま動かなかった。
人の気配が静かにベッドへ近づき、マットレスが遠慮がちに、わずか沈む。
次いで、額にかかる髪をそっと耳へとかけられ、布で汗を拭われた。
――この温かい手と……この香り……。
鼻の奥がつんと痛み、閉じた瞼の奥にじわりと涙が溜まっていくのを、ユリアは必死に堪えた。
やがてエルフナルドは、ゆっくりとした動きでベッドの中に入り、ユリアの背へと腕を回して抱き寄せた。
その温もりに触れた瞬間、ユリアの脳裏に、かつて毎晩のように共に眠っていた日々が鮮やかによみがえる。
――あの頃も……こうして、優しく包み込むように抱きしめてくれていた……。
ああ……私が最近、よく眠れていたのは……。
抑え込んでいた感情が胸いっぱいに広がり、瞼の奥に溜まった涙が今にも零れ落ちそうになる。
ユリアはそれを悟られまいと、顔を伏せるように、ほんのわずか身じろぎした。
「ユリア?」
かすかに名を呼ばれ、胸が跳ねる。
起きていることが知られてしまったのかと思ったが、ユリアは目を閉じたまま、何も答えなかった。
エルフナルドはそれ以上問いかけることはせず、ただ静かに、ユリアの背を撫で続けた。
――この大きな手……。
私の、大好きな……陛下の……手……香り……。
その優しさに、ユリアの心はもう抗えなかった。
おそるおそる、自分の手をエルフナルドの背に回し、その胸元へと顔を埋める。
――どうか……バレませんように……。
今日だけ……本当に、今日だけだから……。
しばらくすると、緊張がほどけるように、ユリアの意識はゆっくりと沈んでいった。