敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
 朝、目を覚ました時、ベッドにはすでにエルフナルドの姿はなかった。

 ――やっぱり……。
 きっと毎朝、私が目覚める前に……そっと出て行かれているんだわ……。

 そう思った瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられ、再び涙が込み上げてきた。

 ――私のことを気遣って、いろいろ提案してくださっているのに……。
 私が素直に受け取らないから、こうして……気付かれないように……。
 陛下のその優しさに、私は全然、気付いていなかったなんて……。
 なら、その優しさを……素直に受け取ればいい?
 でも……私に、そんな資格が……本当に、あるの……?

 エルフナルドが視察で王宮を離れたこの日、ユリアはなかなか寝付くことができなかった。
 これまで眠れていたのは、陛下がそばにいてくれたからだったのだと、改めて思い知らされる。

 このままでは良くない。
 そう自分に言い聞かせ、調合を進めていた睡眠薬を完成させて服用すると、その晩は眠ることができた。
 だが、それはどこか浅く、心が落ち着かない眠りだった。
 陛下に抱きしめられて眠っていた日々とは、まるで違う。

 その事実に気付いた途端、胸がまた苦しくなる。

 ――このままじゃ……いけないわ……。
 私は、この王宮に……いつまでも甘えていてはいけない。
 もっと、自分で……何でもできるようにならなくては……。
 
 その日から、ユリアはさらに訓練に励んだ。
 そして胸の奥で、ある決心を固めていた。
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