敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
ユリアは必死にエルフナルドの全身を見渡し、腕や肩、顔に傷がないか確かめるように視線を走らせた。
「ああ、落ち着け。どこも怪我はしていない」
穏やかに、しかしはっきりとそう告げられた瞬間。
張り詰めていたものが一気に切れたのか、ユリアは腰から力が抜け、その場にぺたりと座り込んだ。
「おい、ユリア! 大丈夫か?」
驚いたエルフナルドもすぐに屈み、ユリアの肩に手を伸ばす。
次の瞬間、ユリアは堪えきれず、エルフナルドの胸元にしがみついた。
「よ……よかった……。本当に……よかった……」
「ユリア……」
「陛下に、もし何かあったらと思ったら……怖くて……」
震える声で、ユリアは息を詰まらせた。
「気づいたら、馬を走らせていました。もしお怪我をされていたら……私が、必ず……」
言葉は最後まで続かず、ユリアはエルフナルドの胸元に顔を埋めた。
「……私の身を案じて、一人でここまで来たというのか」
エルフナルドは言葉を失い、そっとユリアの頭に手を置いた。
指先が、確かめるように、労わるように髪を撫でる。
そして、強くユリアを抱き寄せた。
ユリアは小さく、しかしはっきりと頷いた。
「……そうか」
一瞬の沈黙のあと、エルフナルドは微かに息を吐いた。
「お前は本当に……姫らしくないな」
叱るでも、呆れるでもない。
どこか温かさを含んだその言葉が、ユリアの胸にじんと染み込んだ。
「見ての通り、私は無事だ」
その言葉を聞いても、ユリアは離れようとはせず、むしろしがみつく力を強める。
「そんなに簡単に死んだりはしない。大丈夫だ。私は、ここにいる」
エルフナルドは、ユリアを抱く腕に、そっと力を込めた。
ユリアの荒かった呼吸が、少しずつ落ち着いていった。
「ああ、落ち着け。どこも怪我はしていない」
穏やかに、しかしはっきりとそう告げられた瞬間。
張り詰めていたものが一気に切れたのか、ユリアは腰から力が抜け、その場にぺたりと座り込んだ。
「おい、ユリア! 大丈夫か?」
驚いたエルフナルドもすぐに屈み、ユリアの肩に手を伸ばす。
次の瞬間、ユリアは堪えきれず、エルフナルドの胸元にしがみついた。
「よ……よかった……。本当に……よかった……」
「ユリア……」
「陛下に、もし何かあったらと思ったら……怖くて……」
震える声で、ユリアは息を詰まらせた。
「気づいたら、馬を走らせていました。もしお怪我をされていたら……私が、必ず……」
言葉は最後まで続かず、ユリアはエルフナルドの胸元に顔を埋めた。
「……私の身を案じて、一人でここまで来たというのか」
エルフナルドは言葉を失い、そっとユリアの頭に手を置いた。
指先が、確かめるように、労わるように髪を撫でる。
そして、強くユリアを抱き寄せた。
ユリアは小さく、しかしはっきりと頷いた。
「……そうか」
一瞬の沈黙のあと、エルフナルドは微かに息を吐いた。
「お前は本当に……姫らしくないな」
叱るでも、呆れるでもない。
どこか温かさを含んだその言葉が、ユリアの胸にじんと染み込んだ。
「見ての通り、私は無事だ」
その言葉を聞いても、ユリアは離れようとはせず、むしろしがみつく力を強める。
「そんなに簡単に死んだりはしない。大丈夫だ。私は、ここにいる」
エルフナルドは、ユリアを抱く腕に、そっと力を込めた。
ユリアの荒かった呼吸が、少しずつ落ち着いていった。