敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

113 選んだ場所へ

 夜が白み始める頃、三人は洞窟を出て救援テントへと向かった。
 テントに姿を現したエルフナルドを認めた瞬間、カリルは弾かれたように駆け寄った。

「陛下!!」

 張り詰めていた声には、安堵が滲んでいた。

「心配をかけたな」

 エルフナルドは短くそう返し、軽く頷く。

「とんでもございません。ご無事で何よりです」

 カリルは深く頭を下げたまま、続けた。

「すぐにお探しに行けず、申し訳ございませんでした」
「それは構わん」

 エルフナルドは遮るように言い、静かに首を振る。

「そういう決まりだ」

 その言葉に、カリルはわずかに息を詰めたようだった。
 エルフナルドは一度視線を外し、ふとカリルの腕へと目を留める。
 三角巾で吊られたその腕を見て、眉をひそめた。

「……お前こそ、腕は大丈夫か?」
「土砂が流れてきた際に負傷いたしました。骨折はしておりますが、応急処置は済んでおりますので問題ございません」

 そう報告し、カリルは深く頭を下げた。

「これから、陛下の捜索に向かうところでした。どちらに身を潜めておられたのですか?」
「洞窟だ。夜明けまでそこで過ごし、ここへ戻った」
「……そうでしたか」

 カリルは一瞬だけ安堵の息を吐き、それからユリアへと向き直る。

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