敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
やがて、ようやくエルフナルドの手が動き、そっとユリアの頭に触れた。
撫でるというより、確かめるような、静かな動きだった。
「……もう、休もう」
「はい」
その声に応じて、エルフナルドはゆっくりと腕を回す。
昨日の洞窟で抱きしめられた時とは違い、ユリアの意識は冴えていた。
包まれる安心感はあった。
それでも、胸の高鳴りだけは、どうしても収まらなかった。
――陛下は……どう思っていらっしゃるのだろう。
そっと視線を向けると、エルフナルドと目が合った。
互いに言葉はなかった。
やがて、エルフナルドの手が、おそるおそるユリアの頬に触れる。
その指先の温度に、息が止まりそうになる。
そして、ゆっくりと――
唇が重なった。
唇が離れた瞬間、ユリアの目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
「あ……申し訳、ございません……」
そう口にしかけたところで、声が詰まる。
胸の奥がぎゅっと締めつけられ、息がうまくできなかった。
――ずっと、我慢してきた。
甘えることも、想うことさえ。
抱きしめていたエルフナルドの腕が、わずかに緩む。
「……嫌だったか?」
低く、慎重な声だった。
ユリアは小さく首を横に振る。
言葉を探すように唇を震わせ、それでも、絞り出すように答える。
「違うんです……嬉しいんです。また、こうして……エルフナルド様のおそばにいられることが」
一瞬の迷いのあと、ユリアはそっと、その胸に顔を埋めた。
「……だから、もう少しだけ。抱きしめていてください」
返事は、言葉ではなかった。
エルフナルドの腕が、今度は迷いなくユリアを引き寄せた。
逃がさないように――
けれど、決して苦しくならない強さで。
そしてそっと額に、そして唇に、そっと口付けが落ちた。
「もう、手放すつもりはない」
その囁きと同時に、腕の力が少しだけ強まる。
二人の呼吸が、ゆっくりとまた重なっていった。
撫でるというより、確かめるような、静かな動きだった。
「……もう、休もう」
「はい」
その声に応じて、エルフナルドはゆっくりと腕を回す。
昨日の洞窟で抱きしめられた時とは違い、ユリアの意識は冴えていた。
包まれる安心感はあった。
それでも、胸の高鳴りだけは、どうしても収まらなかった。
――陛下は……どう思っていらっしゃるのだろう。
そっと視線を向けると、エルフナルドと目が合った。
互いに言葉はなかった。
やがて、エルフナルドの手が、おそるおそるユリアの頬に触れる。
その指先の温度に、息が止まりそうになる。
そして、ゆっくりと――
唇が重なった。
唇が離れた瞬間、ユリアの目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
「あ……申し訳、ございません……」
そう口にしかけたところで、声が詰まる。
胸の奥がぎゅっと締めつけられ、息がうまくできなかった。
――ずっと、我慢してきた。
甘えることも、想うことさえ。
抱きしめていたエルフナルドの腕が、わずかに緩む。
「……嫌だったか?」
低く、慎重な声だった。
ユリアは小さく首を横に振る。
言葉を探すように唇を震わせ、それでも、絞り出すように答える。
「違うんです……嬉しいんです。また、こうして……エルフナルド様のおそばにいられることが」
一瞬の迷いのあと、ユリアはそっと、その胸に顔を埋めた。
「……だから、もう少しだけ。抱きしめていてください」
返事は、言葉ではなかった。
エルフナルドの腕が、今度は迷いなくユリアを引き寄せた。
逃がさないように――
けれど、決して苦しくならない強さで。
そしてそっと額に、そして唇に、そっと口付けが落ちた。
「もう、手放すつもりはない」
その囁きと同時に、腕の力が少しだけ強まる。
二人の呼吸が、ゆっくりとまた重なっていった。