敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「もう一つ、これを」
エルフナルドはそう言って、ユリアの手のひらにそっと何かを握らせる。
指先に触れた感触に、胸が跳ねた。
恐る恐る手を開くと、そこにあったのは――
あのブレスレットだった。
「エルフナルド様……これ……」
思わず声が震え、ユリアの視界が滲む。
「お前の宝物だろう? 返さなくてはと思って、ずっと持っていた」
そう言って、エルフナルドは自分の腕に付けている、同じ色のブレスレットを見せた。
「私とお揃いの、初めての贈り物だからな」
――ああ……私は、幸せだ。
かつて、
“幸せになるブレスレットなんだ”と、少し誇らしげに話していた、あの少年の顔が浮かぶ。
願いも叶うのだと。
この日常が、少しでも長く続きますようにと。
陛下と、少しでも長く一緒にいられますようにと――。
あのとき、胸に抱いた願いが、今、ここにある。
「エルフナルド様……このブレスレット、本当に幸せになれます。そして……願いも、叶いました」
そう言って、ユリアは思わずエルフナルドに抱きついた。
「そうだな」
エルフナルドは穏やかに笑い、ユリアを見つめる。
「私も幸せになれた。そして、願いも叶った」
そう言って、ユリアへと、まっすぐ手を差し出した。
「……」
ユリアの目から、また涙がこぼれ落ちる。
それでも彼女は、差し出されたその手を、確かに取った。
「皆様の前に出るというのに……顔がぐちゃぐちゃです。これ以上、泣かさないでください」
少しだけ拗ねたように言うと、エルフナルドは楽しそうに笑った。
「すまない。緊張をほぐしたかっただけなんだが……怒らせてしまったか?」
「……もう」
そう返しながらも、ユリアの表情には、先ほどまでの不安はなかった。
「さあ、行こうか」
「……はい」
ユリアは差し出されたその手を、今度は自分から取った。
扉が、ゆっくりと開かれる。
二人は並び、確かな足取りで、国民の前へと歩み出た。
指先に、もう迷いはなかった。
エルフナルドはそう言って、ユリアの手のひらにそっと何かを握らせる。
指先に触れた感触に、胸が跳ねた。
恐る恐る手を開くと、そこにあったのは――
あのブレスレットだった。
「エルフナルド様……これ……」
思わず声が震え、ユリアの視界が滲む。
「お前の宝物だろう? 返さなくてはと思って、ずっと持っていた」
そう言って、エルフナルドは自分の腕に付けている、同じ色のブレスレットを見せた。
「私とお揃いの、初めての贈り物だからな」
――ああ……私は、幸せだ。
かつて、
“幸せになるブレスレットなんだ”と、少し誇らしげに話していた、あの少年の顔が浮かぶ。
願いも叶うのだと。
この日常が、少しでも長く続きますようにと。
陛下と、少しでも長く一緒にいられますようにと――。
あのとき、胸に抱いた願いが、今、ここにある。
「エルフナルド様……このブレスレット、本当に幸せになれます。そして……願いも、叶いました」
そう言って、ユリアは思わずエルフナルドに抱きついた。
「そうだな」
エルフナルドは穏やかに笑い、ユリアを見つめる。
「私も幸せになれた。そして、願いも叶った」
そう言って、ユリアへと、まっすぐ手を差し出した。
「……」
ユリアの目から、また涙がこぼれ落ちる。
それでも彼女は、差し出されたその手を、確かに取った。
「皆様の前に出るというのに……顔がぐちゃぐちゃです。これ以上、泣かさないでください」
少しだけ拗ねたように言うと、エルフナルドは楽しそうに笑った。
「すまない。緊張をほぐしたかっただけなんだが……怒らせてしまったか?」
「……もう」
そう返しながらも、ユリアの表情には、先ほどまでの不安はなかった。
「さあ、行こうか」
「……はい」
ユリアは差し出されたその手を、今度は自分から取った。
扉が、ゆっくりと開かれる。
二人は並び、確かな足取りで、国民の前へと歩み出た。
指先に、もう迷いはなかった。