敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
 二人は寝室に戻ると、長椅子に腰掛け紅茶を飲んでいた。
 いつも口数は少ないエルフナルドだが、今日はなんだかいつもより少ないように見える。
 やはり、先程の事を気にしているのだろうかと、ユリアは内心少し不安になりながら、向かいに座るエルフナルドに時折視線を向けていた。

「なんだ?」

 ユリアの視線に気付いてか、エルフナルドがユリアに問いかけた。

「あ……いや、その……。怒っていらっしゃいますよね。帰りの時間が遅かったから……」

 ユリアはおそるおそる尋ねる。
 ユリアの言葉に、エルフナルドが視線を向けた。
 
「……別に怒ってなどない」
「……」
 
 ユリアは少し納得がいかない様子で、エルフナルドを見つめた。

「熱中できるものがあるのは何よりだ。そして共有できる相手がいると言うことも。ただ……」
 
 そこまで言うと、エルフナルドは言葉を止めた。
 
「ただ?」
 
 ユリアはエルフナルドを真っ直ぐ見て、次の言葉を待った。

「いや、なんでもない、そろそろ寝ようか、おいで」
「……はい」

 ユリアはエルフナルドが何を言おうとしていたか気になったが、それ以上は聞くことができなかった。
 ベッドに入ると、いつものように口付けを交わしたが、その口付けはなんだか遠慮がちで、その日は一度だけで終わってしまった。

 ――やっぱり少し怒っていらっしゃる?

 そんなことを考えながら、ユリアは眠りについた。

 
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