敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

 その頃。
 ユリアはアリシアと薬事室で休憩を取っていた。
 
「ユリア様、少しよろしいですか?」
「どうしたの?」
 
 アリシアはどこかそわそわした様子で口を開いた。
 
「実は……最近、騎士団に新しい男性騎士の方が入ったらしいのですが……」
「新しい騎士の方?」
「はい。侍女たちの間でとても素敵な方だと噂になっておりまして……。私も一度その方を見てみたくて……。もしよろしければ、一緒に鍛錬場に行っていただけませんか?」
「あら、アリシアがそんなこと言うなんて珍しいわね」

 ユリアは驚いたように目を丸くした。
 アリシアが少し恥ずかしそうに微笑むと、ユリアも笑みを浮かべた。

「いいわよ。なんだか楽しそう! 一緒に行きましょう?」
 

 二人は紅茶を飲み終えると、そのまま鍛錬場へ向かった。
 鍛錬場に着くと、騎士たちが剣を打ち合う音が響いていた。
 
「……あ、あの方です!」
 
 アリシアが小さく声を上げた。
 視線の先には、一人の若い男性騎士がいた。
 真剣な表情で剣を振るうその姿に、アリシアは目を輝かせた。
 
「あの細身の方?」

 アリシアの視線を追いながら、ユリアは尋ねた。

「そうみたいです。噂通り素敵な方ですね」
「あら、アリシアはああいうお方がタイプなの?」

 ユリアはくすりと笑いながら尋ねた。

「確かに端正な顔立ちで素敵ですが、私はやっぱりもう少しガッチリした感じの……サリトス様のような……」

 アリシアが照れくさそうに話を続ける中、ユリアはふと鍛錬場の奥へ視線を向けた。
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