敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
――……あれは
見慣れた姿。
エルフナルドだった。
だが、その隣には見知らぬ女性の姿。
二人は並んで立ち、何かを話している。
気心の知れた者同士だけが持つ、自然な距離感だった。
胸が、ざわつく。
――……どなた……なのかしら……
目が離せない。
エリィが何かを言うと、エルフナルドが小さく笑った。
――……今の……
その表情に、胸がきゅっと締め付けられる。
――……あんな笑顔を、私以外の方にも……
「ユリア様?」
アリシアの声で、はっと我に返る。
「……聞いてらっしゃいますか?」
「あ、ごめんね。聞いてなかったわ」
慌てて視線をアリシアへと戻した。
「どうか……されたのですか?」
ユリアが視線を向けていた方に、アリシアも視線を送る。
「あれ? 陛下もいらっしゃっているのですね。それを見てらしたのですね」
「う、うん……」
「珍しいですね。陛下がこの鍛錬場にいらっしゃるなんて」
――お仕事、よね。
騎士団の方なのだから……当然……。
頭では分かっている。
それなのに。
……どうして……
胸のざわめきは、どうしても消えてくれなかった。