敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「何故ですか? "嫉妬する気持ち"は、誰にでもあるものです。恥ずかしいことではございませんよ。恋をする者に嫉妬はつきものですから」

 ユリアの表情とは裏腹に、アリシアはニコリと微笑んだ。

「……そう……かしら。昨日のお二人のお姿を見てから、何だかもやもやしちゃって、昨日、エルフナルド様と一緒に夕食をいただいた時も、エルフナルド様によそよそしい態度を取っちゃって……。何かあったのか?って、心配をおかけしてしまったの」
「……ユリア様は、その気持ちをお伝えされたのですか?」

 アリシアが尋ねた。
 
「……ううん。何かあったのかって心配してくださるエルフナルド様に、お二人の様子を見て、胸が苦しくなってしまいましたなんて言えなくて。女性とお話ししてほしくないとかでは全然ないの。ただ……あんなに楽しそうに笑っていらっしゃるのを見たら、どうしても胸が締め付けられるような気持ちになってしまって……」

 ユリアはそこまで話すと、それ以上言葉が続かなかった。

「こんな事を伝えたら、困るでしょ?」
「……そんな事ありません。それだけ、愛していらっしゃるという事ですから。それに、この前のユリア様とクリック様との事、陛下もユリア様にお気持ちを伝えられたのでは?」
「……そうね。エルフナルド様もきちんとお伝えしてくださったわ」
「陛下がクリック様との事を伝えられた時、嫌な気持ちになりましたか?」
「ううん、エルフナルド様が何を思ってらっしゃるか聞けて嬉しかったわ」
「でしたら、ユリア様もお伝えした方がいいと思います。陛下もきっと、お気持ちを聞けた方がお喜びになりますわ」
「……うん。ありがとう、アリシア」

 ユリアは小さく頷いた。
 胸の奥にあった迷いが、少しだけ晴れた気がした。
 
< 331 / 333 >

この作品をシェア

pagetop